黄金週間の休暇を迎えて、まずは釣りかな。ホントはパソコンの新しいOSが届く予定で、そのために一日開けていたのだが、到着予定が狂ったのと天気がいいのとで、じゃあ・・まずは釣りかな。

少し不安はあった。今日の川は春にはいいのだが、五月と言えばどうだろう。微妙な位置にある。
だいたい五月って、春なのか? 夏なのか?? 紫外線はもとより気温にしてもそれを受けての服装も、車内に置いとくオニギリのリスクにしたって全く夏のそれじゃないか。
葉脈をも透かす五月の強烈な光。
そのうち日本も冬と夏だけになっちゃいそう。
不安は的中。そこに春の里川のうららかさなんてカケラもなかった。
まだ午前中で、着いたうちから暑いなんてことはなかったが、当然寒くもない。
すでにブヨは飛び回り、入渓してすぐにクモの巣の洗礼を顔面に受けた。
そして、水温。明らかに冷たくない。この時点でヤマメの倦怠感が手に取るようにわかった。

下手に緩いポイントには投げられない。ドロッパエの総攻撃を受けるのは目に見えている。CDC再生不能になるもんね。
釣り人の事情などには無関心の菜の花様。
水温の上昇がヤマメの動きを鈍らせているっていうのは想像がついていた。
確かにそれ風のシブイ反応が続いていたが、反応自体は結構ある。もちろんドロバエなんかではなくて、だ。

でもなかなか魚を手にできないのは、半分は水温で半分は釣り手の怠けたドリフトに原因がありそうで、気を引き締めることにした。黄金の休暇と言っても、あっという間だ。最初が一番気持ちが緩んでしまうのは仕方がないが、後半も気持ちよく過ごせるかどうかは最初の釣果にかかっている。

入渓して1時間くらい経った頃、なにかおかしい感じがした。足が前に出ないというか、気持ちが前に進まないような、そんな感じ。魚より先に釣り手に倦怠感が出たのか?
ランチはライズを見ながらのラーメン。
これ以上の贅沢はありません。
とにかく暑かった。初夏の陽気を超えていた。その暑さに体がびっくりしたのか、対応しきれなかったのか、どうにも具合が悪くなった。
木陰でしばらく休んで、また釣り再開。ただ釣り手も魚もイマイチ気分がノッテいない。フライ直前でのUターンやすぐ横でライズとかばっかりだ。こうなるとフライを木の枝に引っ掛けたり、すべってこけたりとか、集中力の低下があらわになってくる。
あとになってわかったが、この日のこの辺りの最高気温は29度だった。こりゃぁもう五月じゃないな。
ようやく手にした一匹は、その魚体に一切のストレスを残していなかった。
昼ご飯食べて仕切り直しだ。
どこかでこのマズイ繋がりを断ち切りたかった。

ストーブに点火したとき、やにわに強風が吹き始めた。天気予報では明日から雨にはなっていた。その前兆か?
だとしたら、さっきまでのあの暑さはこの強風の前兆ということになる。
そうか、メイストームか。やられたなー。

昼食後、少しはあったハッチもこの強風に吹き飛ばされてしまった。でもこのまま納竿じゃ悔しい。
強風のおかげで少し気温が下がってきた。最後のポイントと決めた場所は、ややもすれば見過ごしてしまいそうな平凡な流れだったが、絶妙の沈み石がしっかり見えた。ここに魚が付いていないはずはない。

一投目、風で押し返され足下に着水。
二投目、ぎらりと水中で光るものが。
三投目、やおら水面が盛り上がり、次にフライが数センチ持ち上がった。
合わせそうになるのを堪えるのに必死だった。ヤマメのヤツめ、鼻っ先でフライを突っついて持ち上げやがった。
ゆるさん、ゆるさんぜよーっっ!!
(もうやけくそ!?)
冗談じゃないさ、釣りましたとも。