解禁からずっとヤマメやアマゴを釣っていると、そろそろゴギが釣りたいなあと思うようになる。
梅雨の手前くらいからゴギのハイシーズンが始まる。
条件によっては大釣りができたりして、ゴギの釣りを満喫する。
そういう釣りが何回か続くと、またヤマメの顔が見たくなる。
ほぼ二ヶ月ぶりにヤマメの川へ。前回同様霧の川筋と大雨のあとのリフレッシュされた流れが見えてきた。
空は厚い雲で覆われていた。
ひまわりの代わりにルドベッキア・ヒルタ。
夏はどこへ行ったのかなあ。
川に下りて川底の変化に気が付いた。ウェーディングシューズが滑らない。実にしっかりしたグリップ感がある。
今年一度この川にきたことがあったが、その時はやたら靴が滑ってまともに川を歩けなかった。
梅雨の終わりの大雨で川底のヌルがすっかり洗い流されたようだ。
そしてすぐに一匹、これまた増水明けのさっぱり顔の小ヤマメが出てきた。
虫が目立つのがこの川のヤマメだったが、こいつは魚体もきれいでいいコンディションだった。
上流からわっと霧のかたまりが下ってくる。
さーっと日が射してきた。
見ると厚い雲はいつの間にかすっかり消えて、青空が広がっている。
ジージーとセミも鳴き出した。曇りの中途半端な天気が一気に夏になったようだ。
増水あとの影響か、クモの巣が思ったほどないのも助かった。
この川はクモの巣のピーク時にはまさしくフライを防ぐ防虫ネットのごとく張り巡らされている。まともに水面にフライを落とせたらラッキーと思えるような状況になる。

またヤマメが出た。が、こんどは空振りだ。まずまずの型だったが。
そしてまた一匹、今度は掛かったがすぐにバレた。活性は高いようだ。
ジリジリと日差しが袖をまくった腕を焼いている。そうか、これが夏の暑さだなあ。思えば今年の釣りでこれだけ夏らしい暑さを感じたのはこの日が初めてだったかも知れない。
遅い梅雨明けで短い夏がようやく始まった。
晴れてくると勢いづく。ヤマメもいっしょに。
日差しはヤマメの警戒心をあおるなあ。 決して小さくはない。大きくもないが(^_^;
また一匹、ちびヤマメが釣れたので、いちおう写真撮っとくかとカメラを出した。
するとみるみる辺りが薄暗くなってきた。空はまた厚い黒々とした雲が出ていた。ちょっと前まで晴れていたのにすごいスピードで空の様子が変わったものだ。しかも今にも大粒の雨粒が落ちてきそうな雲行きだ。
と、思う間もなく雨が落ちてきた。ちびヤマメはそのままリリースしカメラをしまいながら張り出した木の枝の下に駆け込んだ。
こりゃあ止むかなあ。このまま降り続けたらどうするか。車へカッパを取りに戻ってまた釣りを続けるか。
なんだかそこまでして続けることもないような、どっちつかずの中途半端な気分のまま雨の落ちるのを見続けていた。
ほどなくして雨は上がった。
なんだったんだ? すぐ止みそうな感じではなかったがなあ。
とりあえずまだ釣りが続けられそうだ。
また一匹釣れたが、これまた小さい。朝から釣れるヤマメはどれもこれもだ。
久しぶりのヤマメ釣りだからもう少したくましい顔つきを見れると期待していたが、ちょっと思惑と外れている。

また日差しが戻ってきた。雨のあとだからカーッと暑さが倍増する。
ところがスッと曇り、そしてまた晴れてきた。
空を見るとかなりの速度で雲が流れている。まるで台風が来ている時のような流れ方だ。
今年は梅雨入りから雨が降らず、それが後半では大雨が続き、梅雨が明けてもそれほどの夏の日差しはなく・・・というようにいつもと違う天気が入れ替わり立ち替わり続いていた。
そんな日々がこの日の天気に凝縮されて再現されたように思えた。また雨が降り出した。
目まぐるしく変わる天気。次は何が来る?
日が射すと流れが活気を帯びる気がする。 りょうぶの花が散るとまるで雪が降っているようだ。
今度はちょっと止みそうにない降り方で雨は落ち続けた。
僕はもう木の下の雨宿りはせずに雨の中キャストを続けた。
するとまた呆気なく雨は止み陽が射してきた。雨で湿らせといてそれを焼け焦がすように陽が照りつけてくる。
いつの間にかかなりの数のアブが僕の体にまとわりついていた。
僕は川を歩くスピードを早めた。アブから逃げているのか、何かに急かされているのか。
そして僕は川を走り出した。走らないと僕だけが季節にもヤマメにも置いていかれそうな気がした。
冷夏は川の中にも影響があったでしょうか?