Apple社の新しいマウスを動かし、画像をプレビューした。
なんとなくまだ慣れないから動かし方がぎこちない。そのうちひとつの画像に目が止まる。

周りを見渡すと木陰の方がキャンパーよりも多い。空いたキャンプ場はそれだけで快適条件をひとつクリアしている。
今、ポリカーボネイトのマウスにじとっと汗で手のひらがひっつく、こんな状況からはおよそ想像もつかない快適さ。
それはほんの数日前のキャンプだったのに。
周囲を1000m級の峰に囲まれたクールスポット。
今回のキャンプも(いつでもそうだが)例によって県境にある湖畔のキャンプ場だ。
周囲の1000m級の山々に押し上げられた一番空に近いこのキャンプ場は、それでも盛夏の暑い時にはあたりまえに暑い。
ただ今回は、その標高は伊達ではないことを証明して見せた。
凛と夏の光が降ってきてぐったりしていると、急に上空を流れる雲が影を落としてきたりする。瞬間、影に包まれると、体感温度が一気に低くなる。
「ここならあんまり舌でハアハアしなくてすむワン」
ひとしきり飲み食いして落ち着いたら、また川へ泳ぎに行こうということになった。
前回と同じく犬に先導されての川遊びは、これは逆にもっと暑い方が良かった。水に浸かると当然冷たいが、水から上がるとこれまた寒い。しかもこの前はいなかったアブの襲撃にあい、追われるように川をあとにした。

またしても前回と同じだが、テントサイトに戻るとやっぱり暑い。しかしまた雲が影を落としながら駆けて行く。どうも盆を過ぎて確実に何か変化が起こってきているようだ。
ゴギのライズではありません。
犬?、いや人でした。
「ちょっと! ナニカ流れてくるわよっ!!」
スキレットで作るお好み焼きはとてもジューシー。 下界のことは忘却の彼方の山K氏。
釣りをしていると季節の移り変わりは抜きには出来ない。
巡る季節にマッチしたフライを使うのはもちろんだが、出掛ける川も解禁当初の里の川から徐々に上流へと変わって行く。取り巻く景色すらその変化に頭の中が追いつかないほどだ。
キャンプもテントを張るたびに、それはいくら同じ場所ででも目に入る彩りは毎回同じではない。持ち込む装備だって、テントにしろシュラフにしろ着るものにしろ、そしてメインの食べものだって(これが一番変わるのか?)季節に応じて次々と別物が登場する。
ただ飲み物はあんまり変わらんがね。
雲が流れているのだから当然風も吹く。
これがまた、この世のものとも思えない気持ちよさだった。もちろん熱風ではない、涼風なのだから。雲があるからと言って涼風になるとは限るまいに、なんで涼しい風になるのか。この風はどこから吹いてくるのだろうか? 

取り囲む山々から吹き下ろす風か、空に近いこのキャンプ場だからこそなのか。盆を過ぎるとそこここで秋の気配が感じられてくる。移ろう季節もこの涼風も空から降りてくるのかも知れない。
コットで浮くだけで、もうそこは天空です。
吹き抜ける風はクルマのラゲッジスペースでさえ快適なお昼寝空間にしてくれる。ごろり横になるとそのまま眠ってしまいそうだ。

Appleのマウスはまずますの使い心地で、画像を開くたびに部屋に居ながらにしてキャンプの快適な空気が蘇ってくる。ただ、部屋に居て感じる臨場感はそれだけではなくて、いつの間にかしっかり虫に刺されたあとの痒さもちゃんと残っている。
これは向こうに置いてきても良かったな。
クルマの中もナカナカ捨てたモンじゃない。
おしまい