其の百八十五  フィニッシャーのこと
結構ていねいに巻いてバランスもいい感じになったフライ。
でも最後のフィニッシュをする直前でスレッドがアイのところで、ピピンっと弾けてハックルがパラリパラリとほどけてしまう。
ああなんてこった。今までの苦労が・・・、なんていう経験、タイイングをし始めの頃ならいざ知らず、いまだにそんなことをするのは僕だけだろうかσ(^_^;)
やっぱりタイイングは最後のフィニッシュをバッチリ決めた時に、一本巻いた達成感が感じられる。フィニッシュって大事な作業なんだなあ(今更ですが)。
この三角形でフライをフィニッシュ。
それでもタイイングの時にハックルほどけをやってしまうならまだいい。川で釣りをしている時にハックルがほどけてしまったら話にならない。
これも何回かあったなあ。ハックルがほどけるということは、留めていたスレッドがほどけたか、留めていたスレッド部からハックルが抜けたか、ということになる。
よくやったのはパラシュートだった。パラシュートはその形状からフィニッシュはハーフヒッチャーでしていたが、これはやっぱり仮留めなので、当然ヘッドセメントを付けていた。それでもほどけたんだからかなり巻き留め方に問題があったんだなあ。
でもいつ頃からだろうか、フィニッシュのやり方を変えた。そしてそのやり方がずっと今まで続いている。
ウィップフィニッシャーを使い始めたのは、タイイングを始めてからどれくらいたってのことだっただろうか。
ハーフヒッチとは明らかに違う、しっかりとした結び感、とでも言えばいいだろうか。
ウィップフィニッシュをし出してからは、ヘッドセメントも使わなくなってしまった。
本当はいくらウィップフィニッシュと言えどもヘッドセメントは一滴でも垂らしておいたほうがいいんだろうけど、今のところ川でのハックルほどけは起こっていない。
ハーフヒッチも使い方次第。
ウィップフィニッシャーはその独特のツールの形状や、フィニッシャーを使って結ぶ作業行程の感触が気に入っている。
スレッドを二ヶ所に引っ掛け、くるくると回して引っ掛けている一方を外し、もう一方を掛けたままスレッドを引いて締めていく。
この一連のリズミカルな行程がタイイングのフィニッシュに相応しい気がする。数種類のマテリアルを複雑に巻き留め、その最後にまるで釣果の念を込めるかのようにフィニッシュする。一本のフライを巻き終えるための儀式のようでもある。
単なるイト結びとしてならより簡単なやり方でヘッドセメントを塗るだけでも十分だ。
僕の場合はどちらかというとウィップフィニッシャーを使いたいから、というところが大きいと思う。
フィニッシュの決まったフライは釣れるような気がする。これも全く根拠のない思い込みだが、こういうことの積み重ねがこの釣りの楽しみにつながっていくように思う。
また今夜もウィップフィニッシャーをくるくる回してみようか。
テンションをかけてスレッドを抜く時、
ひとつのプロセスが完了する。