其の百八十九  初釣り 島巡り
もう使いそうもない#4の渓流用のフライロッドで海釣りをするのは、どうも限界じゃないかなあと思い始めていた。
釣れないのは道具のせい、という言い訳をさせないためにも、まずはしっかりした道具をそろえてから海に臨む・・・・。でもそれはやっぱ来年からかなあ。
とりあえずは今年の初釣りは#4で行こうと決めて、島を目指す。年末の寒波で市内もかなり雪が降ったが、年が明けたら快晴。
風もなく穏やかな瀬戸内は、条件は申し分ない。
新年の島は大渋滞ですσ(^_^;)
渋滞の橋を切り抜け、なんとか島へ上陸した。
もう島だったらどこでも釣れるんじゃないかと、実に短絡的に考えていた。
しかしそれとは別に、ほぼ一年ぶりに海で釣ってみようと思い立って出掛けてきたことに不安もあった。
ろくに海のフライフィッシングについて研究するでもなく、タイイングにいそしむでもなく、そしてロッドの件もある。
冬とは言え真っ昼間だしなあ。過去のメバルを釣った実績は当てにはならないと思った。
なんとも穏やかな内湾。静か過ぎるなあ。
小さな漁港に立ち寄ってみた。数人の家族連れが釣りをしていた。
防波堤の横の海底の様子は砂地から岩礁帯へと変わっていくような感じで、その境目には小さな魚が泳いでいるのが見えた。
とりあえずフライを投げてみた。車から降りて仕掛けを投じるまでの時間の早さでは、すでにロッドを継いでフライを結んでいる状態ではフライフィッシングが一番早いだろう。
車から降りる→ポイントへ歩く→キャストする の3つの動きしかない。
しかし、(ここはダメだなあ)と、その場所に見切りをつけるのもフライが一番早い。というか、全く反応せず、釣れそうもないから諦めるのも早いのだ。
最初の港をあとにし、橋を渡って次の島へ移った。
ここはいくつかの島が橋で繋がれている。船で渡るわけではないので自由に思い切ったポイント変えができるところが強みだ。
二ヶ所目の港、ここではロッドを出さずじまい。
そして三ヶ所目、実はここが本命の港だった。
すでに多くの釣り人がいる。僕は防波堤の中央くらいに陣取り、足下にフライを落とした。
フライにアクションを与えながら引き上げていくと、大きな口を開けた魚が追いかけてきた。
海はいつでもそこにあるのに魚はなぜか居ないんだよなあ。
「やったっ!」っと思う間もなくその魚はプイッとそっぽを向いてしまった。
結構なサイズだ。メバルか? 少し移動してキャスト。引き上げるとまた魚が追ってくる。しかし直前でUターン。くそー、なんで食わない。
とことこと隣に子供がやってきた。そして僕と同じように足下に仕掛けを落とした。後方にお母さんがやってきて子供を見ている。
と、子供がロッドをあおった。釣れたのだ。引っぱり上げた魚はドジョウみたいな細長い魚だった。それでもお母さんは拍手している。そんな魚でも僕はその子供に負けている。うむむ〜。
本命の港も追われるように退散した。もう行くところがない。
そのまま島の先端へ行った。その先にはまた小さな小島へ橋で渡れる。
その橋の下、島と島の間の狭い海峡は引き潮の時間と重なって、内湾から外海へと急速に潮が引きつつあった。
それは海峡の狭さもあって、まるで川の流れのようだった。
僕は魚皮をまとった赤いフライをそれこそウエットフライのように投げて手前に引き寄せた。
そしてそれを追う魚影が目に飛び込んできた。
なんだかわかんないけど、釣れた〜\(;゚∇゚)/
流れがあるならこっちのもんだ。
魚影はフライに食いつき、僕はロッドをあおった。しかし魚はすぐにバレてしまった。
「あ〜っ」と思いもう一度キャスト。流れをターンするフライにまた魚影が迫った。
また食いついた。今度はしっかりフッキング。なんだこの魚、一回バレてもまた食いつく。
まるで海のゴギだ。
その魚はべっとりのぬめりとグロテスクな顔で、そうそうに海にお帰りいただいた。
さて、のこるは目の前の小島だけだ。僕は小さな橋を渡った。
釣り場を求めてどこまでも・・・(^_^;