其の百九十一  釣り具と筆記具(3)
万年筆を使い初めてそろそろ一年になるかなあ。
その間にモレスキンのノートを三冊書ききった。
プライベート用一冊と仕事用二冊だ。それとは別にモレスキンの七月始まりのスケジュールノートを買ったが、それは万年筆で書き込まずボールペンで書く事にした。
ボールペンは四年くらい前からロットリングのトリオペンを使っている。シャーペンと2色のボールペンだ。
このペン、結構カスタマイズできるから、長く使えている。
お気に入りのロットリングのエクステンションクワトロペン。
真ちゅう製のボディはしっかりした重量と質感が好ましい。
金属ボディは万年筆よりも重たく、書き味にも一役買っている。しかしペン先の滑らかさは万年筆には到底かなうものではない。まあ仕事で使うスケジュールノートだからそこまでこだわらなくても良いと言えばいいのだが。
そんな時、文房具屋でジェルインクの替え芯を見つけた。ロットリングのペンにも使える規格だ。
ジェルインクもボールペンであることには違いないが、書いてみてその書き味の滑らかさに驚いた。これはいい。色の種類も豊富でペリカンのインクと同じブルーブラックとかもある。
色の種類が豊富だと、別の色も使いたくなってくる。
そう思って今度はロットリングのクワトロペンを買った。これはシャーペンと3色ボールペンのマルチペンだ。
このクワトロペン、エクステンションという名前もついているが、それは樽型のグリップからきているらしい。
軸と同素材の真ちゅうで、グリップ部はいい感じのふくらみとすべり止めの溝が掘ってある。
このしっくりくるグリップ、それはフライロッドのコルクのグリップを思わせた。
トリオペンは塗装がはげ、真ちゅうの地が見えている。
使い込んで味が出るのもいいなあ。
文字を書くにもロッドを振るにも、グリップの果たす役割は大きい。
最小限の力を伝達ロスを少なくペン先あるいはロッドティップに伝える。文字もラインもペンの軸やロッドを通して解き放たれる。使い手と道具の唯一の接点であるグリップは道具の機関部、心臓とも言える。
替え芯を変えて異なるインクを使い分ける事も、いろんなメーカー、種類のラインを使い分けることに共通している。
ペン先の太さも種類があるし、ロットリングを使い分けることはフライロッドを使い分けることに似ている。こうやってみるとなんか僕はこういう棒状のものに魅かれるのかなあ。
それは多くの機能を備えた道具であるからというのもある。素材にこだわって作り込まれたものでもある。
これをこれから長く使い込んでいくという楽しみまであるのだから、いい道具だなあ。