其の百九十四  何ゆえ、フェザントテール
先週から解禁に備えてフライを巻き始めたが、そう簡単に十本二十本とはいかない。
ドライフライを五本くらい巻いてふう〜っとひと息。まだまだだなあと思ったのが先週の時点。
今週、机を思い切ってタイイング道具のみにしてみた。これなら巻くかというと、それはそれ。
しかし本当に本腰を入れて巻くのなら、ドライフライだけではまずい。だいたい解禁前はニンフをよく巻く。
よし、ニンフを巻くか、と思った時、ふとある鳥の羽が目に止まった。
Macをとっぱらい、タイイングスペースに。
しかしこの有り様はヒドイなσ(^_^;)
コックフェザントのセンターテール。そうだ、フェザントテールを巻こう。
マテリアル名がそのままフライの名前になっているこのフライ。僕は以前はソラックスにピーコックを使いウィングケースにフラッシャブーを使ったフェザントテールをよく巻いて使っていた。
それで釣ったことがかなりあったので、実績のあるパターンと思っていたが、同じ場所で使い続けると飽きられやすいという話を聞いた。
カップヌードルっていろんなスープのバリエーションが発売されているが、結局はスタンダードな最初のカップヌードルが一番美味しい、と思う。
それと一緒かな。とは言えフランクソーヤーオリジナルレシピ、スレッドは使わずフェザントテールとカッパーワイヤーのみで巻く、というのはちょっと敷居が高い。
フェザントとカッパーワイヤーは使うが、やっぱりスレッドで巻き止めながら。ソラックスにはヘアーズイヤーを使った。
ゴールドリブドヘアーズイヤーみたいな柔らかいファーが水中でふわふわと揺らいでヤマメを誘う、というのとは対極にあるのがフェザントテールかなあ。
どちらかというと硬質で、素材の質感とシルエットだけで勝負するフライと言える。
色や形がよく似たカゲロウの幼虫は何度か見たことがある。
そして確かによく釣れるよな。
ヤマメはこいつを食べることになってるんだよな。
ドライフライはまあ言ってみれば魚に見えるのは水中側を向いている半分だけということになる。
それに対して水中に沈むニンフは魚からその姿が全部が見えてしまう。
水流でどう向くかもわからないから、ほぼ全方位が見られると考えられる。
それだけにヘアーズイヤーのような形が定まらないフライと違い、フェザントテールはタイイング時点でその性能の大部分が決まってしまうんだろうなあ。
シンプルで何十年も変わらぬ形で今も使い続けられているフライである所以はその実力にあるに違いない。
水中を漂うフェザントテールを想像してみた。
フェザントとカッパーワイヤーが醸し出す不思議な生命感が、水中で更に増幅されていく。
小さくてシンプルなのに高い能力を秘めているというところが強く魅かれる。
そういえばここ何年かはフェザントテールを使っていなかったかな。というよりも巻いていないからフライボックスに入ってなかったかも知れない。
何年かの周期でまた使い出すパターンがある。今年はフェザントテールでなにか起こるかも(^_^;)
ヤマメを誘うこの色この形。頼もしいです。