其の百九  パートリッジの小羽
初めて買ったコンプリートのマテリアルはパートリッジだった。
いわゆる「うずら」なのだが、その羽根の独特の模様は釣れるよなあ〜って思わせるに十分なオーラが発せられている。
グレーや茶色の縞模様はそのファイバー一本がすでに虫を連想させるというか。

ひとシーズンの中でパートリッジを使ったフライを使わなかったことは多分ないだろう。
どこかの部位にぱらっと使われている、いや使いたくなるのがこの小羽だ。
ハックルとしてのパートリッジはレッグのイメージが強い。
ひとつのコンプリートの中にもいろんな模様やサイズの小羽がある。
グレーのものやほんのり茶色がかったもの。その茶色に横筋のストライプの入ったものと、なんともお洒落な鳥であるなあ。
極小サイズのフライには使えないが僕が常用するサイズなら十分に守備範囲だ。
以前はウエットをよく巻いていたからかなりの頻度で使っていたが、やはり今はドライ中心になっているので、ウエットの頃ほどではない。それでもレッグやウィングにぱらりと巻いてみる。そのひと巻きがあるかないかでフライの出来がずいぶんと違うものに見える。
願わくばその効果が渓魚様の方々にもご理解いただけるとありがたいのだが。
ファイバーもしなやかで柔らかく、コックハックルよりは太い分存在感もあり縞模様もより強調される。
巻いた時の出来映えも狙い通りの形になりやすい。マテリアルとして扱いやすいということか。
見た目のアピール度としなやかさからくる動きの期待は、ここぞと言う場面での信頼につながる。
そしてなによりいかにも鳥の小羽で巻いているという感じがするのがいいかな。毛鉤を巻いてる〜って感じの。
ひとつのコンプリートに様々な表情を見せる。
ウッドダックなんかの繊細なフランクフェザーもいいけれど、値段も張るのでパートリッジみたいに気軽には使えない。たしかにウッドダックやグレーマラードなどはウィングに使うとそれだけで高級感が出るというか格が上がるというか。
まあ釣りうんぬん以前の、タイイングでの満足度は高いことには違いない。
CDCはやはりちょっと違う種類のノリになる。見た目の効果も浮力にしても、パートリッジなどとは用途が微妙に違うところを目指している感じか。
パートリッジはファイバーの一本がしっかりと仕事をしている。一本だけハックルの間からのぞいていてもそれがレッグの役割として確立している。ここがほかのフェザーとの一番の違いだろう。
お気に入りのパートリッジを使った毛鉤がボックスにいくつか追加された。
心情的に今ごろ巻くのはどうしても春先のパターンになる。
解禁間もない渓に飛び交う虫達にはこの縞模様があるかどうかは微妙なところだが、僕がヤマメならこの羽根を使ったフライは食うな。
張りのあるファイバーにちりばめられた縞模様。
なんだか来年はパートリッジの毛鉤ばっかりを使ってしまいそうだ。
CDCのウィングの上にちょっとあしらうだけで、毛鉤の格が上がると言うか、ね。