其の百十四  リブがあったら、なかったら
飽きるほど(失礼)見かける、春カゲロウ。マエグロヒメフタオ。
あんまり最近「リブ」って単語を聞かなくなったのは気のせいだろうか?
本棚にずらりと並ぶタイイングのパターンブックを開けば、ドライ・ニンフ・ウェットとそれぞれのパターンの使用マテリアルにこれこれをリブとして使いなさいと書いてある・・・ない?  両方か。
川で水生昆虫を観察する時、それは禁漁期間でない限りはきっと釣れなくてヒマな時なのだろうけど、そこで見る虫達にはリブ(虫の体節)は大抵は見られるかなあ。
カゲロウの場合、ニンフ・ダン・スピナーとどの形態でも体節はある。
カディスでもラーバやピューパ・そしてアダルトと、やはり体節はある。
ストーンフライもガガンボも然り、である。
でもそれぞれのフライパターンは必ずリブを取り付けるかと言えば、そうとは限らない。
見た目のリアルさよりも水面や水中での状態を優先させたパターンは、簡略化のためか、リブを省略するものも多くある。
ストリップドピーコックはきれいにリブを表現できるが、なかなか面倒くさい(^_^;)
ヒモ状のマテリアルを巻き付けてリブに見立てるだけでなく、最初っからボディ材にリブの模様が入っていて、ボディを巻くとそれだけでリブも出来てしまうマテリアルもある。
ストリップドピーコックや各種クイルなどは、もとからある濃淡が巻き付けるとリブのような模様になる。どちらかというとこちらのほうが自然な感じで、あとからフラッシャブーとかを巻き付けるのは、体節そのものを現わすというよりも、光やキラメキが魚を誘う効果の方がその目的としては強いような感じだ。

ディテールのリアルさを求めてであるならば、リブがあったりなかったりは、なにをもとにきめられるのだろうか?
それはあんまり難しい話ではないかもしれないが、ダビングボディだけで終わらせるパターンも結構ある。
CDCダンなんかもあまりリブはつけないし、パラシュートもどちらかと言えば付けないか。
あまりこれといった基準もなさそうだし、あえて言えば個人の好みくらいかなあ。
僕もドライフライの場合は別途リブを巻き付けることはあまりしなくなった。これがニンフやイマージャーだと逆に必ずリブをつけるのだ。
僕個人の心理的には、リブは見た目のリアルさよりもその状態(特に水中での形態)のひとつを現わすキーになっているというつもりで巻いているようだ。
だからヘアーズイヤーとかのリブはなんの遠慮ものなく派手なフラッシャブーをくるくる巻いちゃう。
それに比べてドライは質素というかナチュラルというか。本物の虫はあれだけちゃんと体節がきれいに見えるのにね。
コンドルクイルでボディを巻くとボリュームのあるリブが出来る。でもこれって今も手に入るのかしら(・.・;)