其の百十八  梅雨の楽しみ
解禁から約半年のフィッシングロードを突っ走るには、ちょっとしんどくなってきたかなあ。
それは年齢か気力か体力か。いずれにしても少しは休憩を入れた方がそのあとの禁漁までの残りのロードを悔いなく過ごせることにもつながる。
期待の梅雨の雨もイマイチしっかり降ってくれていないようでもあり、梅雨前線の今後の動向が要注意である。
では一息入れる雨の週末はなにをするのか? そりゃまあ色々あるでしょうが・・・。
フィルムでもデジタルでもライトボックスで見る瞬間はいくばかしかの緊張があります。
もうすっかりデジタルカメラが勢力を広げてきた今時期に、僕はフィルムカメラを持って釣りに出掛ける。
もちろん小さなデジカメもポケットに入れては行くが、メインはフィルムの一眼レフとレンジファインダーだと、そういう気構えだけは、ある。
デジカメなら釣り場でも釣りからから帰ってでも、すぐに画像を見ることが出来る。しかしフィルムなら現像に出してそれが上がって取りに行ってで、4〜5日遅れになるかなあ。
撮ってからタイムラグがあることで、一度忘れた記憶データの再読み込みということになるわけで、部屋で見るフィルムは記憶の断片をゆらゆら揺らす攪拌(かくはん)棒の役割を果たす。
そしてルーペを覗いて写真の出来を見た時、歓喜と落胆が交錯する(?)
フィルムは直近の釣りのものを見て、それから以前のものを整理したりした。いくつかプリント候補をピックアップもしているし。こんな作業も楽しいのだ。
そんな折り、渡渉舎よりのびのびになっていた本が出版された。バンブーロッドの本だ。
梅雨の中休みにちょうどいいと早速釣具屋に買いに行って、手に取ってびっくり。なんとも分厚い。
ビルダーのM川氏も書かれているので買ったのだが、氏曰く「上下巻に分けてくれんかのう。持ちにくいわい」とは、同感です。
釣りが炊き立てあつあつのごはんなら、釣りの本はたまごかけごはんのたまごかなあ〜。
まずM川氏の項だけを読んでみたが、一読してすっかりバンブーワールドにどっぷりって感じですなぁ。
ロッドビルディングや釣りそのものに限らないが、モノゴトの道筋のそのすんなり行かなさたるや、古今東西変わらずあることよ。
M川氏にしても、いろんな寄り道回り道分かれ道があり、その紆余曲折の果てに今の道をようやく見つけたのだと、読み終えてじんわり感じた。これからほかのビルダーさんたちの項を読むのだけど、こりゃあ目標は年内読了かな。
あともう一冊、今月号のフライフィッシャー誌にもM川氏が関係する記事が載っていた。セイランのコンプリートを巡る話の最後には、数年前筆者のB氏が広島に来た時のタイイングデモとそのレポートのことも書かれており、懐かしくそのレポートを読み返したりした。
そして弾不足のフライを巻かなければなりますまい。
オフシーズンにはほとんど巻かないテレストリアルを、ここぞとばかりに巻く。フィルムと本で刺激されたから、次の釣行への充電はできている。

梅雨の週末にやることは、考えてみればいつでも出来ることなのに、それをためこんでしまっているのを、一気に片づけるっていう図式だな。
そしてそんなひとときが、梅雨明けの真夏の釣りの充電になっているのかも。
タイイングはかたわらの今年の戦果の画像を見ながらしますです。