其の百三十六  初釣り、湾岸へ
「フライですか? 珍しいですね。釣れましたか?」
「いやあ、なかなか釣れなくて」
「川とやり方は同じですか」
「まあ、そうですね」
「深いところを流すんですか? 引っ張るんですか?」
「・・・」
エンジンの音がした。行ったか。
いやいや何人目だよ、ここは質問コーナーか?
珍しいかもしれんけど、ちょっとたまらんなあ、疲れた。
市内をちょっと東へ。海はいつでもそこにあるんだけど。
去年の年末に海フライを巻いたら海で釣りたくなった。
考えることはなかった。海はすぐ近くにある。とは言えいざ行こうと思うとロッドとリールに迷った。
使っていない道具でいいと思ったがいざ海用に下ろすと思うと、(いやまてよ、このロッドはまだ渓流で使うかも。このリールはもったいない)などと迷いが生じる。
結局は使っていない8ft,#4のロッドに古いラインに巻き変えた未使用のリール(!?)で望むことにした。フライは年末に巻いたクレージーチャーリーのほかに、だいぶ以前に巻いていたソルトのパターンが数本。あと釣り具屋でもソルトパターンを2本ほど買っておいた。
大橋を渡りすぐ下の海浜公園の先から始めた。
正面には二本の大橋がクロスしている。まだ湾岸沿いに道路が建設中だ。このあたりもずいぶん様子が変わったなあ〜って思っていたら、例の通り掛かりの人の質問攻めが始まった。
なんとかやり過ごしたすぐあとにフライになにかが食いついた。
やったやったとラインを手繰ると、見えてきたのはフグだった。
いやいや、釣れたのだから釣りが成立したということだ。おめでとう。
ぬお〜、フグじゃあ。
まあ釣れんよりはいいけど〜σ(^_^;)
いろいろ試して反応がなく、釣り具屋で買ったパターンに変えたらすぐだった。
ウィングに魚皮を使ったフライだった。僕のクレージーチャーリーにはなんの反応もなかったのに。
その後もこの魚皮パターンを投げた。リトリーブすると魚が追いかけてくる。しかし追いかけるだけで食ってこない。むむ〜、こういう時はどうすればいいんだ?
とにかく場所を変えることにした。大橋の下まで移動。すると警らのパトカーが現れた。どうもこのあたりは不法駐車に厳しいらしい。そんな看板がいくつもあった。
大橋の下でも魚はフライを追ってくるが食わない。
少し風も出てきた。これだけ広い海だからもっとなんかが釣れるだろうと思っていたがフグ一匹とは。
昼間だし潮も見ていないし、ほかに釣り人がいないことからしても、この日のこの時間帯はだめだったようだ。
もちろん釣り方ももう少し研究が必要だ。パターン、サイズ、リトリーブのやり方など。
ある意味渓流の釣りよりもシビアなところがあるかもしれない。
巨大な建造物が釣り場にある。
渓流じゃ考えられないなあ。
しかし海釣りは釣れないと全く面白くない。
渓流ならまだ山の空気や新緑でリフレッシュすることもあるが、家からものの20分で着いた海辺でただ時間だけが過ぎて行くと、非常に空しい。それでもたまに魚が追いかけてくるから、切り上げ時が伸ばし伸ばしになってしまう。
と、気がつくと魚影がフライを引ったくって行った。合わせると掛かっているではないか。

という訳で初釣りはめでたく(呆気なく)メバルで納竿。
今年も良い釣りが出来ますように。
おお、ついにメバル様とご対面。
ちっちぇえ〜σ(^_^;)