其の百五十五  水辺の近況 「mGと紅葉の川」
スカッと久しぶりの晴れにくっきりイエローは、大歳神社の大銀杏。この辺りの秋の訪れをアピールする代表格だ。
推定樹齢は1100年、樹高は49m、周囲は8.2mの巨木で、この時期はこの木を目当てに訪れる人も多い。
黄葉の具合、地面への落ち具合からして、この日がピークであったようだ。
mGはひたすら大銀杏にレンズを向けてシャッターを切っていた。

コンビニで食料を買おうとしていたら声をかけられた。mGだった。
「いやあ、天気がいいし、紅葉見に行こうと思って」
なんという奇遇(そうでもないか)。
僕もそうだった。話は早い。この金融危機の世の中、わざわざ同じ目的で車を2台出すことはない。
僕は車を駐車場へ戻し、mGの車で高速に乗った。紅葉の渓を目指して。
いつもの釣りエリアの近くにはこんな大銀杏がある。
最初に大銀杏を見に来て正解だったようだ。なにしろこの木の黄葉は今まさにピークに達している。
銀杏の葉の間からこぼれる小春の陽光を浴びて、ちょっとかび臭かった僕の体もしゃきっとした気がした。
ひとしきり写真を撮って、僕たちは更に北部へ向かった。
更に紅葉は深まり、空気が澄んでいくのがわかるようだ。
コーヒーを淹れるために途中の名水の出る所に寄ったが、水はちょろちょろしか出ていなかった。
まとまった雨は降っていないからなあ。
大銀杏を見上げるmG。足下も真っ黄色です。
アカショウビンの巣、という意味でしょうか? 赤つながりで、トウガラシも(!?)
県境の高原に着いたのはまだ10時過ぎだった。
高原を取り巻く山や森はどれも赤く黄色く色づいて、空の青によく映えている。
草原には
ススキの群生が風にたなびいて、そのそよぎ方がなんだか気持ちよさそうだ。
前回ペアリングを見に出掛けた時にも寄った食堂の横には地元の野菜売り場がある。のぞいてみると、これからおいしくなる白菜やらなんやらがびっしり並べられていた。
mGが地元産のリンゴを買ったので僕も買う。
行く先々でそこここに秋を感じさせるものがあふれている感じだ。
mGはかけそばを注文。ご満悦です。 僕はざるそば。冬でもこれです。
ちょっと小腹が空いたので、それならばと前回に引き続きまたまたそばを食べた。
さきほどの大銀杏のところもこの高原もかなり行楽の人が目立つ。紅葉のメッカのS峡は車と人でごったがえしているだろうから、そこと比べるとこのあたりはまだ静かな方だろう。
でもせっかく出掛けてきたのだから、紅葉や山の空気を楽しむのなら静かなほうがいい。街へ戻るといやでもまたあの喧騒に埋まっていくことになる。
そばを食べて僕たちはやっぱり川の様子を見に行くことにした。ペアリングはもう見れないだろうか?
そうとわかっていても、自然と足が向く。
高原から少し移動すると集落の外れに川がある。
この川は僕たちがシーズン中に通いつめる川の源流に当たる所だ。
先ほどの名水同様水が少ない。通常の半分以下だ。
やっぱりヤマメの姿は見れなかった。タイミングも遅いが、この川の状況もひどい。
せめてこれからしっかり雨や雪が降って、来年また良い釣りが出来るように水をたたえて欲しい。
mGは名残惜しそうにいつまでも川をのぞき込んでいた。
(次週、後編につづくσ(^_^;)
高原の片隅にいつもの釣りの川の源流がある。