其の百六十  フライフィッシング初挑戦
新入社員のK君は入社後すぐに野球チームを結成。
チーム名も決めユニホームも揃え毎週末ごとの練習も欠かさない。
それだけでなく西中国山地を越えて日本海へサーフィンにも行くし、友達とバーベキューもするし、風邪で熱があっても焼き肉を食べに行くし、ジムに通ってトレーニングにも余念がない。
忙しくて仕事をしているヒマがない(!?)訳はないが、一週間が七日では全く足りなさそうだ。
その新入社員君と釣りに行くことになった。
初挑戦の舞台。何年ぶりかでやってきました(*^^*)
多趣味の新入社員君が僕がフライをやっていると話すと、その目を輝かせた。
一度やってみたかったという彼を管理釣り場に誘うと、すぐに予定は決まった。
新入社員君はもともと釣りもやるので、全くの素人ではない。
故郷では延べ竿でトウガラシ浮きをつけての極めてオーソドックスな釣りをしていたという。
そういうのんびりした釣りもいいなあ。
僕にとっても何年ぶりかの管理釣り場での釣りとなった。
日曜日でもちらほらとしか釣り人はいませんが。
実に簡単にキャスティングの手ほどきをすると、新入社員君はすぐに器用にフォルスキャストができるようになった。
たまに修正を加えてやったらもうほとんど口出しは要らない。なんちゅう飲み込みの早さだ。
ティペットにフライは結べないのでそれだけは僕がする。
そしてものの数投で一匹目を釣ってしまった。早いなあ。
この日は曇りで底冷えするような日だった。ドライで釣らせてやりたかったがまずはニンフを結んでいた。
新入社員君、初ヒット。地味に取り込みました(^_^;
「トウガラシ浮きとはちょっと違いますね」
いや、そこじゃないでしょ、感想は。まあいいか、とりあえず初物おめでとうございます。
でもニンフでマーカーをつけての釣りだから、道具やキャスティング以外はトウガラシ浮きの釣りの感覚なのかもしれないな。
おまけに管理釣り場のポンドだから、流れと言う壁もない。これで流れがありドライフライを使っていたらもっと新感覚な感動があったんだろうけど。
それでも僕の経験からしてもフライで初めて魚を釣ると言うことは、そこまでの様々なプロセスを含めて経験のないことばかりで、強く印象に残っている。
それは新入社員君にとってはどうだろうか?
新入社員君のように若い人は、どのジャンルの趣味にしても歴史が浅い。
別に新感覚はフライだけではないだろう。これから次々と新しいものに出会い吸収していく、そんな年代なのだ。
だからフライを初めてやってみてもそれしか見えなくなるほどの衝撃とまではいかないのだろう。
かたや僕と言えば、ある程度歳を重ねてからのフライフィッシングだったから、印象深かったのは無理もない。
昼食の即席ラーメンとコーヒーは好評でした。
結局陽が傾いて薄暗くなるまで釣り続けた。
新入社員君は10匹は釣っただろうか。徐々にキャスティングは乱れてきた。さすがの彼も少し疲れてきたようだ。
帰りの車中でもフライフィッシングの話が延々と続く。しきりに道具の値段を聞くので、どうも彼も来シーズンの本格参入をイメージしているのだろうか。

あれから新入社員君とはフライの話はしていない。
彼は今スノーボードのことで頭がいっぱりらしい。さすがσ(^_^;)
取り込みはまだぎこちなく、携帯で写真を撮ろうとする所が現代っ子ですな(^_^;