其の百六十三  初釣り 瀬戸の島へ
なかなか海モードにはなり切れなくて、結局年明け最初の釣りがこの冬の海の第一回目となった。
仲間からは激ウマのアジの開きをもらっていたから、そろそろだなあ〜って思っていた。
火がついたのは年末のM川ロッド展示会の時にYが釣ったハマチを見せてもらった時だった。
まああそこまでの大物とまではいかなくても、まずはメバルでも釣れりゃあなあ。
一年前の海では結局自分で巻いたフライでは釣れずじまいだったしな。
さて〜、今年を占う一投をば★('-^v)
せっかく瀬戸内海の沿岸に住んでいるんだから、島へ渡らない手はない。
数ある離島のうちのひとつを地図を眺めてインスピレーションで決定。釣り情報などは一切見ずに決めた。
その島は瀬戸内の中でもかなり小さい部類に入る。渡ってみるとやはり小さい。点在する集落はひっそりとしていて、島の生活の一角をかいま見た気がした。
さて、初釣りだったな、忘れてた。島を周回する細い道を辿りながら、良さそうなポイントの近くに車を停めた。
冬晴れ〜、ぽかぽか暖かです。
渓流と違って広々としてるなあ。
前の日の夜にぱぱっとクレージーチャーリー(こればっか)を2本ほど巻いてきた。
一年間前のままのリーダーに結んで、道の上から海面をのぞいてみた。いるいる。メバルらしき魚影が結構見える。
これはやっぱり市内から近い海とは訳が違う。離島の環境の良さならでわだなあ。これなら2,3投で釣れちゃうんじゃないか?
まずは一投。メバルの群れのど真ん中に放り込んだ。一発でメバルたちは四方八方に散ってしまった。
う〜む、ようやく正月ボケの頭がしゃんとしたかなあ。
何投かしたが、ちょっとフライを振り向く程度であとは知らん顔だ。こんな離島のメバルならフライにスレているなんてことはないだろうけど、案外シビアだなあ。
海面よりも高い道の上からキャストし、リトリーブを繰り返す。
陰になっている辺りは海中の様子がよく見えない。
島の周回の道は島民の人たちがてくてく歩いて通る。僕の横を通るたびに、
「こんにちは」「こんにちは」「釣れますか?」「いやああんまり・・・」
フライが風にあおられて陰の部分に落ちた。海中がわからないままでリトリーブするとまるでウエットの釣りみたいだ、と思ったら正にウエットの時のような、ググッというアタリがきた。
おお、一年ぶりのメバル様。お元気でしたか。
ちびメバルをリリースし、あらためて海を見る。
こんなに広くても魚を釣るポイントは川と同じでピンポイントだなあ。しかもこんなに小さいメバルが。
そういえばこのメバルは今年の初物というだけでなく、ようやく念願の自分の巻いた海フライでの初物ってことになるな。
おめでとう、ありがとう。
とはいえやっとの一匹。どうも反応が鈍い気がして場所を変えることにした。
車で走り出すと、ほどなく見慣れた景色。もう一周したか。
場所変えでポイントを探して歩く。誰もおらんな〜。
最初に島に渡った時の港の防波堤で、ロッドを振ってみることにした。
おじさんがひとりと若い人がひとりいた。若い人はルアーを使っているようだった。
防波堤の内側にはなにやら小魚が群れを成している。まずはそのど真ん中へフライを投げてみたが、さすがに見事に散ってしまう。
群れの中をリトリーブして引っ張ってみても関心を示す魚は一匹もいない。
それでも粘って引っ張ると、防波堤の真下の岩礁でフライが引っ掛かってしまった。
おー、海フライではメバルとフグ以外の初めての魚種じゃあ\(;゚∇゚)/
ぐいぐいと軽くあおってみると外れたような感触と、なにやら掛かっている気配が同時に伝わってきた。なにか掛かっている?
ラインを巻き取りながら階段を降りてみると、なんとカサゴが釣れているではないか。
全くの向こう合わせで、さっきのメバルのようには釣ったという感じではないが、まあいいか。
さて、初釣りでの初物は一応手にしたがまだちょっと物足りないな。せっかくの島なんだから、まだ釣りたい。
こういう欲も今年の初釣りに相応しい。
潮が満ちてくる前に戻らないと帰れなくなるなσ(^_^;)