其の百七十五  今年のウエーディングシューズ
禁漁になってから何週間も経ってようやく道具を片づけ始めた。
ウエーダーを裏返しにして干してシューズも流水で洗って干した。
ベストも中身を出して洗濯し、リールのラインもざっと洗い、ブレイデッドリーダーはラインから外してクモの巣を取り除いてリーダーワレットにしまった。

ひととおり片づいて、ベランダに干したシューズを見ていて思い返したことがある。
今年はこの釣りを始めてから初の試みをウエーディングシューズでやってみたのだ。
ウエーディングシューズもいろいろはいてみたなあ。
今年の初めに初めてSIMMS社のウエーディングシューズを買った。
ここ何年かいろんなメーカーのシューズをはいてみたが、Patagonia以来しっくりくるシューズに出会っていなかった。
SIMMSのシューズは非常に満足した。はいてシューレースをしぼり、靴ひもをしっかり結んだ時の、足をがっちり固めるように包み込む感じがいい。靴のアッパーがしっかりと作られているからだろう。
ダメだったメーカーのものには、アッパーがふにゃふにゃで足を保持できず、川で歩いていて踏ん張りがきかなかったり、そのせいか歩いていてやたら疲れるものがあったりした。
SIMMSのシューズはそれがなかった。足がしっかり保持されると言う事は、歩いていてバランスも崩しにくく無理な力もかからない。もうこれからはSIMMSのシューズしか考えられないなあ。
そしてこのシューズで試した新たなこととはソールだった。
フェルトソールしか使った経験がなかったが、今年初めてビブラムラバーソールを使ってみたのだ。
日本の渓流にどこまで向いているか、いないか?
一回目の釣行で、僕は早速こけてしまった。
全くグリップしないなあ、というのが正直な感想だった。少なくともフェルトなら滑らない石もビブラムは滑る。
滑らない石もあるだろうが滑ると思っていた方が良さそうだった。
この黄色い靴裏のエンブレムがいいのよ。
何回か使っていくうちにだんだんビブラムにも慣れてきた。
滑りやすいことには変わりはないが、その分気をつけるし滑らない歩き方が自然と身に付いてきたようだ。
特に滑るのはやはり藻やヌルの付いた石だった。ひどいものになるとフェルトでも滑るのだからビブラムが歯が立つ訳がない。
そうなるとやはり春先の釣り場は滑る場所が多く、季節が進みだんだんと釣りのエリアが上流へ移っていくとビブラムでもあまり滑らない場所になってくる。源流帯のような冷水の流れる岩場だとあまり滑ってヒヤッとした覚えはない。
問題は歩く人の認識だろう。滑ると思って歩くか、滑らないと思って歩くか。
結局それが「慣れる」ということなのだろうが、それなら僕がシーズンの後半はあまり滑らなくなったのは、藻やヌルの少ないところをだったのと慣れてきたのとが、まあ両方合わさって滑らないでいられたのかもしれない。
ともあれビブラムは濡れても水を吸わないから重くならない。
ソールもまだ2シーズンはもつだろうから、来年こそこの軽快な靴で釣果も伸ばしたいなあ。
当然来年もこれをはきます。