その29 Old Macとヴィンテージタックル考察
オークションで古いPowerBookを手に入れた。今どきのデータの大きさやアプリケーションの必要パワーを考えると何ゆえに? などと思われそうだ。大きい声では言えないが、ハードディスクは1.3GBである。
まだその辺は交換というテもあるのだがそんなことしなくても大容量HD搭載のMacは持っている。それならなおさらこの古いPowerBookの存在意義は? ということになる。
いまだ現役で使う人の多い
PowerBook2400c。
私は特にヴィンテージタックルへの造詣が深いと言う訳ではなく、というよりもほとんど知らない。ただ、ヴィンテージとまではいかないまでも、ここ数年の「傾向」は知るとはなしに知っている。
”復刻版”がそれだ。Hardy社を代表とするフライ用品メーカーが次々とこの”復刻版”と銘打ったリール(が多い)やフライの道具を出している。
何故今”復刻版”なのだろう?
マーキスをヴィンテージとは呼べないが、ベーシックな形は変わらない。
以前某自動車メーカーに「10年色あせぬ価値」というキャッチコピーの車があった。
車で10年と言えば最近の国産では相当なものだが、フライのタックルならもう一桁多いだろう。そしてそのタックルの価値はあせぬまま今に至っているものはもちろん、その時の姿を今に再現して世に送り出されたりしている。それがまた引く手あまたの人気振りだ。
最近は径の大きなラージアーバーのリールを各メーカーが製品ラインナップに乗せているが、人気のほどはどうだろう? 機能的には巻きぐせがつかず巻き取り速度の早いラージアーバーに軍配が上がりそうだが、海ならともかく小渓流でラージアーバーを導入している人はまだ少数のようだ。
機能的に優れ、機能美すら備えていよう最新のリールに比べて ”復刻版”とまではいかなくても往年のベーシックなスタイルの小型リールが勝る所となると、これはやっぱり「雰囲気」だろうか?
新旧のリールの性能差は絶対的なものではないがコンピューターとなるとそうはいかない。CPUパワーもグラフィックコントローラーもメモリの搭載量にしても然りである。
しかし、最新のコンピューターは性能を生かすため、ノート型では薄さや軽量化を追及したあげく、なにか無機質なデザインになっているように思う(それがインダストリアルデザインとしていいっていう向きもあるのも確かだが)。
文章を書くだけ。でも妙に肩の力が抜ける時間。
昔の製品って制約がなく(無い訳はないが今ほどではなく)、今よりはずっと自由に作る事が出来ていたのだと思う。それが徐々に高まる需要に答えるべく、そしてライバルメーカーとの戦いに打ち勝つ競争力のある製品を生み出すために、自由さを犠牲にして押し込めて来たように思える。それがある日誰かが不意に思い出したのかも知れない。時代を振り返るには早すぎるような気もするが、古き良き時代の道具達を。

ハイスペックではあるが無表情なPowerBookに長く向き合っていると、ふと表情豊かな古いMacを触ってみたくなる。
それが何年ぶりかで入札しようと思ったきっかけだった。