其の五十九  釣りにまつわる『竹』事情
さて、"竹" である。
釣りの 話で "竹" とくればやっぱり "竿" だ。
フライフィッシングに限らず、竹は釣りと切っても切れない素材だと、言ってます(誰が?)。
でも実際そうだろうと、思う。素材としての竹は、釣りの道具に加工することを前提として、やはり優秀なのだ。
古(いにしえ)の時代から竿だけでなく、いろんな道具に竹が使われてきたのは、つまりそういう事なのだ。
デビューを待つ身の竹達。すでにランディングのイメトレは完了。
民芸品などでも竹を使って作られたものがよくある。やはり加工するための柔軟性があるから材料として竹に行き着いたのだろう。加工だけでなく耐久性にしても問題ない。軽いという事もある。
いまさらだが、こうして見ると欠点が見あたらない気がする。
もちろん現代である。竹に取って変わらんとする素材は次々と出てくる。更に加工が容易で、更に耐久性があり、更に軽量で・・ってな具合に。
そんな新手の素材でさえ竹にはかなわない、竹にしかないモノもある。
それは・・なんだろう(えっ?)
やっぱりまずは雰囲気というか味わい・・でしょう。なんかぼんやりとしてますが、そういう事です(無理やりか?)。
やっぱり自然素材の味わい? 温もり? そんなモンが竹にはある。
釣りは川や湖や海へ出掛けるのだから、自然の中で自然素材を使うのは全く自然な事なのだろう。
更にそんなアナログっぽい素材が現代の最新の素材に引けを取らない性能を発揮するのなら、これは快感ではないか。
竹林は実に不思議な空間です。
もうひとつ。
「青竹を割ったような」っていう表現があるが、これも竹の魅力に繋がっていると思う。子供の頃、ナタで竹を割った事がある。繊維に沿ってスパッと割れるそのいさぎよさが、やがて道具となって自分の手に有る時、自分自身をつらぬくのだ。そんな竹の性格が竹というだけで、やんわりとではあるがきちんと伝わってくる。
ロッドを振った時、弧を描く時、繊維がしなやかに伸縮する様子までもが伝わってくる気がするのは私の思い込みだろうか?
ともあれあとひと月ちょっとで竹竿の出番となる。
今年もしっかり仕事してもらわにゃぁね。使い続けて回数を重ねて行くほどに、更に熟成されていく手応えを感じよう。
これも私の思い込みだろうが、魚が掛かった時、ラインの先のそのイキモノの躍動が一番伝わってくるのも竹のような気がする。
でもね、グリップのコルク部分より小さい獲物だと、それはちょっと難しいかなぁ。
よーし、おおきいの釣りましょう!
先鋒 7フィート#3。次鋒 7フィート#4。