其の六十  水辺の近況 「汗ばむ冬晴れ」
引っ越しだろうか、荷台に家財道具らしき諸々を載せたトラックを追い抜いた。荷台にそのまま載せてある扇風機の羽根が高速で回っている。寒そうじゃー。

と言う訳で、すっかり冬らしくなっているであろう北部へ向かう。ピリッと引き締まった空気を感じつつ、今年の川の様子でも見んかいって、まあそんなノリで。
アメダスの積雪では北部では1mを越えている所もある。12月はなんだかこの冬は雪が降るんだろうかっていうような暖かさだったが、年末年始にドカッと降った。その後も冬型は続き、春に向けて頼もしい積雪が記録されている。

インターチェンジを降りたのは11時を過ぎていた。快晴だ。なんかもうちっと寒々とした景色を想像していたのだが、その意味では完全に裏切られた。まあ、これはこれで気持ち良いけどね。
彼方の山も手前の河原も白く染まり、
真逆の空の青さが眩しい。
11時と言えばスキー場へ向かう車は見当たらず、どちらかというと私みたいなの(?)が車を飛ばして北へ向かっている。路面に雪は無く、気軽に山へ出掛けるにはちょうど良い。
イキツケの川に着いた。河原へ降りてみる。予想以上に雪が深い。しっかり積もれば春の釣りが期待出来る。しかし・・・。
ちょっと歩いただけで、息が切れる。毎度の事だが半年間であっさり体力は退行する。バランスも崩れやすい。それともうひとつ、ナンか暑いぞ。
里も川も雪化粧。斜面には白黒の縞模様。 水際の雪は徐々に流れに溶け出して行く。
上着を脱いだ。暑くなってきた。なんとも冬のそれではない陽気だ。雪による照り返しも眩しい。街で曇っているとうすら寒いのに、山で晴れるとこんなにも暑くなるとは。
昔から冬の陽射しってこんなに強かったかなぁ。なんかどっか冬らしくない冬の河原で、ぜいぜい言いながら歩く。

きっと解禁になって釣りに出掛けたら、最初は川歩きもしんどかろう。当分はほどほどのペースで行くかな、なんて考えてたらすぐ脇に不意に木の枝から雪が落ちてきた。
直撃を受けたらむち打ちになったかも知れん。アブナイアブナイ。それにしても一気に積もった雪は溶けるのも早い。たっぷり積もって少しずつ溶けていくのが理想なんだろうけど。

道路に戻ると車に蹴散らかされて泥で汚れた雪が路肩に積み重なっている。これに比べたら河原はきれいなもんだ。
川岸のピュアホワイトのかたまり。それを縫うように流れる。
さあ、解禁までにもうちょっとは体力つけましょうかね。
少し歩いただけでかなりバテた。ヤバイね、ホントに。
それにしても手加減無しのこの陽射しはどうだろう。でもこれは本格的な冬の到来は遅れたが、きっとちゃんと春が近づいているんだろうと、そう思うことにした。
せめて、解禁してしばらくの間はポカポカした暖かい季節を過ごさせて欲しいものだ。四月、五月で夏日じゃ耐えられません。
あー、あとひと月かぁ。
スカッと快晴。これはこれでキモチいいのです。