其の七十三  フライパターン的 交換レンズ
あの手この手を考えて、フライを取っ換え引っ換え。そして空しく沈黙の水面を眺める。
まあ、たいていこのパターンなのだが、フライ交換がテキメンに効いて、ヤマメが飛び出そうモンなら、「やっぱマッチザハッチだよなーっ」って、面倒くさがってカディス投げなくてホント良かったって思う。

状況に応じて取り換えて、効果が出る。これはカメラのレンズを取り換えるのとなんか、似てる(か?)
オーソドックスなクイルゴードン。レンズに例えれば 50mm の標準レンズだろう。
無難と言ってはなんだが、スタンダードパターンは、パイロットフライとしてとか釣り上がりの時に結びやすい。
しかし逆に、これ一本で通すって言うのは、フライフィッシング的にはどうかね。

写真を撮る時には、レンズ一本を使い倒すっていうのもありだが、やはり画角を変えて撮ればまた絵が違ってくる。
標準・広角・望遠と、レンズを付け替えて風景を切り取る作業は、フライをマッチさせてヤマメを釣るのと、やはり似ていなくもない。
いつでも使える守備範囲の広いカディスは広角レンズ的な使い方とも言える。
カゲロウの季節からテレストリアルの暑い夏まで、エルクヘアカディスは万能すぎるほどの威力を発揮する。広角レンズをフライパターンの効果の広さと結びつけるのにはムリがあるが、あえて例えるならそうなりそうだ。
超広角となると異次元の画角みたいになってしまうが(実は私はそれが好きなのだが)、28mm前後なら実用範囲の広い、まさにエルクヘア的広角レンズと言えよう。

これがもっと目的を絞ったマッチザハッチのパターン、例えばCDCダンとかになると、それは中望遠レンズ、あるいはマクロレンズ、なんていう事になるのだろうか?
私はフィルムのカメラではズームレンズは使わず単レンズばかりなので、このあたりもフライフィッシングとカメラを扱う事に共通点を感じる理由になっている。
きっと融通の効かない頑固ものなのだ。小さなフライを巻いて、器用そうに思われるが、別の意味で実はとんでもなく不器用なのかも知れない。
でもその不器用で頑固な私が、毛ばり一本、レンズ一本に託すモノの重みは、ずしっと重く厚いものでもあると思う。
あとは・・そうだな、もちっと結果がついてくりゃぁね(!?)
ピントの山はつかみにくくても、合焦(マッチ)したときの威力は他を抜きんでる。