其の八十一  イマージャー あれこれ
半年間の釣りシーズンの中で、何回釣りに出掛けるか、何回ロッドを振るか、何匹魚を釣るか・・・。
それぞれにあるのだが、その中でじゃあ釣ったフライは? となると、九割強がドライフライだ。
やっぱり魚が反応する瞬間が目で見えるから、この釣り方になってしまう。流れ方も目で確認できるし、出た時の興奮はドライフライならでは、だ。
ただ、フライの使い分けは、マッチザハッチの考え方に基づいているはずなので、それに準ずるのならもっとほかのフライも使う機会はあるはずだ。
ツイストロールウィングイマージャー。
このウィングの効果は・・・定かではない。
ウェットフライやニンフを執拗に巻いていた時期があった。計算され尽くされたデザインのウエット。ラフに巻くのが持ち味のニンフと、ドライを巻くのとは違ったタイイングも楽しめた。
それはイマージャーも然り、である。
このステージのフライはドライのように目で見えず、ニンフやウエットのように積極的に沈めて魚を誘うというモノでもない、もっとぼんやりとした使い方(私が使う時にはそう、ということだが)でしかし効果アリ、というところだろうか。
このノーウェイトの小さなゴミくずみたいなフライは、実はとても渓流の流下する虫を現すのに理にかなっていると思うのだ。
全くのニンフの状態ならともかく、まがりなりにも羽化したものなら、それはきちっと水面に浮いているばっかりでない。もちろんたやすく想像はついているのだが。

ある年、ライズを見つけての釣りの場面で、投げるフライ全てが無視される状況があった。
何度投げても反応なしで、諦めかけた時にダメ元でイマージャーを投げたのだが、一発でインジケーターが引き込まれた。そんな経験をすると、使わない訳にはいかなくなる。
オーソドックスなソフトハックルも、イマージャーと言える。
波にもまれて水面下に沈んだ、ハッチしたての縮れたウィングのダンなんて、考えただけでも旨そう(渓魚代弁)でわないか!  何万というハッチの数の中で、水中に引きずり込まれてしまう個体もかなりの数になろうし、その状況こそ魚の誘うチカラが最も強いのではないか、という気さえしてくる。
わざわざ危険を犯してまで水面のエサを食べなくったって、安全に虫を食べられるのなら当然そっちを選ぶだろう。釣り人の立場からすると、目での確認や面白さというところからは少し退いてしまうのは否めないが、見えない水中で波にもまれて流されているであろうフライに、がっぽり食いついてくれたら、これはこれで痛快ではないか。
イマージャーを巻くにしても、水流に流されるままになっているような、か弱さをイメージしながら巻くのだから、ドライやニンフとは違う感覚でタイイングすることになる。
これもまた、シンプルがゆえに工夫のしがいのある作業だ。

ドライの釣りは確かに楽しい。水面下の釣りも負けてはいないように思う。どうしても手を伸ばすフライはドライが多くなってしまうとは思うが、ここイチバンの切り札になりうる実力は十分にあるのだから、それを使いこなす腕も追従せねば(!?)
歴代のシマザキウィングを使ったショートウィングイマージャー。 釣れるハズ!