其の八十三 水辺の近況 「雪里探訪」
よく降りました。十二月にコンナニ降るなんて、ほとんど経験ありません。
品薄のスタッドレスタイヤをようやく買って、馴らしも終えたところで高速に乗った。山や川はどうなってるだろうか?
高速は、いつものインターチェンジから先は、雪で通行止めになっている。
インターを降りると、空と路面以外はどっさりの雪で埋め尽くされていた。冬型は緩み、元気を取り戻した日差しがみるみる雪を溶かしている。
それでも路肩の雪は子供の背丈くらいはゆうにある。
辛うじて、見えます。
市内ではさんざん雪にびびらされたが、一転週末の北部は釣りシーズンでもなかなか見れない快晴の空が広がる。
さすがに川辺は雪に埋もれて、魚の姿が見れないのはもちろん、河原へ降りることさえできない。
集落の民家の屋根に積もった雪の厚みを見ると 「こんなに豪雪地帯だったっけ?」と思ってしまうくらいの迫力がある。
河原も除雪した雪の捨て場になっていたりして、細々と水の流れがなんとか見える程度だし。

これから解禁までにあとどれだけ雪が降るのか、降らないのか。
釣りが出来ないくらいに三月に雪が残るってこともありえないではない。
雪の川を見に来た中で、一番積雪が多い。
川幅が・・・、狭っ!! 重そー。建物が壊れませんか?
またまた解禁の川を想像してみる。
以前にも何度か書いたが、雪の残る渓での釣りに憧れるモノがある。 より困難で厳しい条件下での釣りに、特別な価値を置く。その達成感がそういった釣りを追い求める理由になっている。

この日、また違った価値を雪の渓で見つけた気がした。
純白の化粧を施した渓は、見慣れたはずの景色を一変させる。北の地方や海外への遠征をしない私にとって、通い慣れた渓が違った新鮮な渓に模様替えする、唯一の季節なのだ。
そんな中でロッドを振れば、アタマの中までもが鮮やかに刺激される。
記憶に焼き付く一番印象深い色は、やっぱり白なのかも知れない。
その白の特殊性が、その時その瞬間の出来事をよりいっそう鮮烈にアタマの中に刻みこませる。
春や夏にも見られないような、スカッと抜けるような青い空が更に後押しして、たいして魚は釣れなくてもその年で一番思い出深い釣りになったりする。

半年釣りから離れていた、というのもあるから余計に新鮮さに拍車がかかるのかな。
さて、あと二ヶ月・・。
枝の雪も日差しで次々と落ちていく。