其の八十六  一鉤に託す
さて、先週ニンフをひとしきり巻いたが(と言っても三本・・・、少ないね)、今週はドライフライといきましょう。
いいタイミングで、T社より新しいフックが発売された。
早速試しに買ってみて、いざ巻こうとしたが、こいつはなかなかオモシロイ鉤ではありませんか。
水面下にボディがうまく吊り下がるような姿勢に仕上げられるフックはほかにもあるが、今回のヤツは目一杯それを意識している。
ひとつに特化したフックは、それにミートした使い方をすれば、効果絶大(!?)
T社の新製品フック。新しいカタチにタイイング意欲も活性化(?)
水面下に吊り下げて、より強くサカナを誘う。それも状況によりけりで、吊り下げ型が必ずしもオールマイティではあるまいが、マッチした状況では間違いないだろう。
食いつかせるところまで行ったら、次はフッキング性がどうか? が気になるところ。全くシャンクがまっすぐなフックに比べてどうだろう?
アイ側をティペットを介して引っ張る訳だから、その時のポイントの動線を想像してみる。
まっすぐなシャンクならポイントも割と引っ張られる方向に、素直に動くような絵が浮かぶ。それが、曲がったシャンクだと、引っ張られる方向よりポイントが少し深い角度で進むような気がする。
引っ張り方向とフックのポイントの延びる方向がずれていれば、フッキングの時に弾かれそうとか、掛かりが浅くなりそう、とかの不安がある。
まあ、私が想像するようになるとは限らないし、既存の曲がりシャンクフックで、掛かりの悪いという話しは・・・、聞いたことはあるが、自分ではまだ経験はない。

そうなると、やはり釣りで使ってみての検証は必要なのかも知れない。もちろんメーカーでもそういうことはやってはいるだろうけど。
しかし、フックが変われば巻くフライもずいぶんと雰囲気が変わるものだ。
逆にフッキングさえしっかりされれば、ホールド性はまっすぐシャンクよりも良いような気がする。より深く食い込むというか。するとフッキングとホールドは、ひとつの鉤のカタチで両立は難しいということなのだろうか?

まあ、いずれにしても、これは私が鉤を見て、勝手にイメージで思っているに過ぎない。ちゃんとメーカーのプロフェッショナルの方々が作って製品になっているのだから、極端なことにはならないだろう。むしろ、フライを巻き始める時の新しい鉤故の新鮮さが、この製品の一番の価値なのかも知れない。
しかし、新しい鉤一本発売されただけで、バイスのホコリをふきはらい、いそいそとタイイングし始める。
単純そのものだが、何年も毛ばりを巻いているとそういう新しい刺激でもないと、飽きてしまうものだ。

「解禁が近づいたから巻かなきゃ」、で巻き始めるのが毎年の常だが、せっぱ詰まって慌てて巻くのではなく、もっとその一本に今年の釣りの期待を託して、じっくり巻いてみたい。
その意味では、いいタイミングでこの鉤を手に入れた。
(で、2〜3本巻いて、オワルナヨ!!)
フローティングピューパもしっくり巻ける。