更に低気圧は東進し、上空に強い寒気が流れ込む。首都圏では三月の積雪は七年振りらしく、普段雪との関わりが薄い人達の慌てぶりが違和感なく伝わってくる。
私に至っては、積雪は初春の日常であるとまでは言わない。だけれどもスタッドレスタイヤは履いているのだ。
冬タイヤ規制の高速だろうと、がちがちツルリンコンの峠道だろうと、なにも臆する事はない。ただね、寒いしだるいし、それから眠いのよ。
「春眠不覺曉(春眠暁を覚えず)」か。それはそれでキモチイイ。
ベストのポケットにフロータントを詰め込む。
解禁になった。遊漁券も買った。ならば行けるではないか、釣りに。
そう、それはそうだが、天気が気になる。雪の中の釣りも惹かれるものがあるが、やはり川に立つまでが大変だ。道中の困難さもあるが、釣りへの期待度が行動力に直結する。果たして釣れるのか?
北部の天候は明らかに荒れたものになっているはず。ちょっと今週は様子を見るか、と思っていると陽が射して来たりする。
うだうだ迷うくらいなら行けばいいのに、どこかで気象予報士が「今週はヤメトイタ方がいいでしょう」と言ってくれるのを待っている(そんなこと言わんか)。
ウォータープルーフのバッグにウェーダーとシューズを詰め込む。 車に釣り道具を積み込む。
コラ、ネコ、どけ。
釣り具屋へ顔をのぞかすと、どうも私と同じように、行こうか行くまいかでくすぶっているらしき人達が何人かいた。
それぞれが行ったかどうか聞き合っている。そして誰もまだ行っていないと言う。
更にみんな遊漁券は買うのだが、明日行くという訳でもなさそうだ。
(ナンダ、みんな行かないのなら行かなくてイイや)って安心する。どういうんだろう?この心理。
そもそも釣りは競合欲というか、その先の名誉欲がその根源にある、いやない(どっち?)。
iPodに曲を詰め込む。
釣りになにを求めるかは人それぞれ。食もあれば、釣りそのもの・写真・釣果の自慢とか。
ただどれをとってもやはり他の人が大きい魚を釣ったりイイ釣りが出来たりっていう話を聞くと嫉妬してしまうことはあるだろう。人はなかなか自分のする事を自分の中だけでとどめておくことが出来ないものだ。人に話したい、自慢したいっていう欲が出てくる。そして、それを聞いた周りの人が羨ましがったり、すごいすごいと褒めてくれたりしたら、やっぱり気分は良いに決まってる。
この日の釣り具屋に居た人達に限って言えば、そういった相互の感情の確執が起こる前段階であり、まだスタンバイ状態だっていうことが、私を安心させた(っていうことなんかねぇ)。
さてそうは言ってもいつまでもぐずぐずはしていられない。
あれこれ荷物を準備する。前もって準備しておかなかったら、それを理由に行くのを諦めかねない(行きたくないのか?)。
万端に整えて、車に乗るだけで出掛けられるまでお膳立てしておけば、行くかどうかは天気のせいに出来るわけだ。

まあとにかく釣りに行かないなら行かないで、あれこれと考えるのに忙しい。次の週末は釣りで忙しくなればね。
週末に仕事を詰め込む。