ぎっしりと空間を埋め尽くすツールとマテリアル。
フライマンでタイイングをする人には机を片づけるという概念はない。ハックルやダビング材、フックのケースなどは一度机の上に出したらそこが定位置となる。そして次のマテリアルを出すとまた空いたスペースに出しっぱなしとなり、根が生える。
とはいえ、それが邪魔になるわけではなくて、よもやバイスのジョーにまでフラッシャブーをぶら下げたりはしない。ジョーの周りに手を回転させる空間さえあれば事足りるのだ。
散らかり方にも人それぞれの個性が現れる。
今回の山K氏の机を見てみるとフライマンのお手本のような散らかり様である。しかし、不思議とだらしなくは見えない。ひょっとしたらあの山K氏のことだ、緻密な計算の上できれいに片づいている机の上にマテリアルやツールの類いをひとつひとつ配置して散らかり具合を演出した上でこの写真を撮ったのかも知れない。
なんてことはいくらなんでもないだろうけど、見るからにバランスが取れていて気持ち良く散らかっているではないか。バイスを中心に両サイドの縦面も有効活用されていて、すっぽりとツールやマテリアルに囲まれてタイイングをしているような空間だ。
常時iMacでタイイングデータの検索可能。
フライフィッシングってヤツは釣りに出かけるだけでなく、部屋のかなりの場所を占有してしまう。たっぷりとマテリアルやツールやデスクに場所とお小遣いを取られ、これまた結構な時間を割いてフライを巻く。その投資の割合が、ひょっとしたら釣りそのものから考えたらバランスが取れていないような多さなのかも知れない。
でもその贅沢なまでの間接的な時間と空間とお金の先行投資がフライフィッシングそのもののモチベーションを高めているようにも思う。タイイングという外枠をじりじりと狭めて中核の釣りそのものの密度を高めていくような。
おおっ、こうしちゃいられない。はたとワレにかえり、「タイイングするか?」とハラをくくって私の机を見ると、あれまぁしっかりパソコンやら本やらに占領されてしまっているでわないか。うーむ、やっぱり来週からにするかな。