其の百八十四 釣りとコーヒー | ||||||||||||||||||
釣りに行った時にコーヒーを淹れて飲もう。 そう思い立ったのは四年前の春だった。 張り切ってMSRのウィスパーライトインターナショナルを買い、初っぱなからパーコレーターが吹きこぼれ、ラーメンまで作ったが、クッカーのハンドルで火傷したというお粗末な出来だった。 それからそのシーズンはサタケのマジックライスにはまり、それとコーヒーを釣りに組み込む試みを続けてみた。 |
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水辺で淹れるコーヒーは特別な気がするなあ。 | ||||||||||||||||||
おおかたの予想通りMSRを使った昼食付きフィッシングは1シーズンで終わってしまった。 これをやろうと思ったら、かなり時間を気にしなければならない。荷物の増えるのにも抵抗があったし。 それから何年か経ちMSRは壊してしまい、釣りでコーヒーを淹れるなどということは滅多にしなくなった。 このオフシーズン、ちょっとまた水辺でコーヒーを飲みたいなあとそんな気分になった。 |
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コーヒーを淹れる道具たち。やっぱり荷物はかさむ。 | ||||||||||||||||||
自家焙煎コーヒー豆の店「そにろき」を知ったのはなんかのタウン情報誌だったかもしれない。 広島県呉市の町に迫る山の中腹にある、通うにはちょっと・・いやそれ以前に車で行くのもためらわれるような場所に、その店はある。 戦艦大和を建造した呉は戦時中に軍港として栄えた。しかし平地の少ない呉で短期間に次々と人が集まってくると、家を建てるのに平地だけでは足らず次々と山の方へと家が建てられて行った。 今でも呉の町の山の手はとんでもない場所に家々が建っている。車も軽がやっとのようなところが多い。 その一角にそにろきはある。ようやく辿り着き、コーヒーの試飲と店の人にあれこれ話をうかがって、豆を二種類買って帰った。 |
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そにろきの豆はシティロースト(深煎り)で、香りも高い。深煎りなのはコーヒー豆の油を楽しむためだそうで、淹れ方はドリップではなくカフェプレスを使って淹れる。 ザラメ状に挽いた豆をカフェプレスに入れ、ちょっと蒸らして残りのお湯を入れ二分待ってからプレスする。 カップに注いだコーヒーは油が浮いているが、これがあるからおいしいのだそうだ。 ドリップだと油は濾されてしまって取り除かれてしまう。 |
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フルシティのコーヒー豆。深い色合いがいいなあ。 | ||||||||||||||||||
店で試飲したときは、香りやコクがとても良かった。油があるからちょっとカロリーは高いということにはなるのだろうが、そうがぶがぶ飲む訳じゃないから大丈夫だろう。 その日のうちに早速家で買ってきた豆で淹れてみた。だがさすがにすぐには同じようにはいかなかった。 これはそのうち少しずつ淹れ方も慣れて行くしかないかなあ。カフェプレスは淹れ方のバラツキが少ない方法だとも聞いたのだが、なかなかうまくいかない。 どのみちコーヒー豆は焙煎してから三週間くらいで飲み切ったほうがいいようだ。焙煎した豆は生ものと同じだから冷蔵庫に保存するよう言われた。豆も鮮度が大事のようだ。 |
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またミルで豆を粗く挽き、カフェプレスに移して丁寧に淹れる。 香り、味ともにもうちょっとだなあ。まだまだ満足のいく淹れ方になるまでは時間がかかりそうだ。 でも外で飲むコーヒーは、外で飲むということがまたひとつの味付けになりそうだ。 釣りの途中でというのは、やっぱりなかなか難しいかも知れなけれど、たまにはやってみたい気持ちもある。 この釣りだからそういうのが似合うような気もするし。満足の一匹が釣れたら「祝杯」ということにもなりそうだ。 |
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この一杯、また釣りの時に飲んでみようかなあ。 | ||||||||||||||||||