其の二百二 六月に使うフライたち | |||||||||||||||
春から夏へ、ときれいに季節が切り替わるわけではなく、使うフライもずっと同じじゃダメだけど、切り替え時は衣替えのようにこの日から、というようにはいかない。 そもそも釣りに行っていないから、まだ早春のパターンのフライボックスがベストに入ったままだ。もし次釣りに行くとしたらこのフライボックスのままじゃあダメかなあ。 テレストリアル専用のフライボックスはある。しかし、今もうテレストリアルか? と考えると、ちょっと早過ぎる気もするし。 |
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色の濃淡で年中使えるアダムス。 | |||||||||||||||
フライを始めた頃は解禁当初からしばらくの間は色の淡いフライ。季節が進んで暑くなってきたら色の濃いフライを使う、とそんな短絡的な考えでフライを使っていた。 まあそれも全く間違いではなかろうが、季節と色の繋がりだけでフライを選ぶのはフライフィッシングとしてはどんなもんだろう。 やはりその季節に渓魚が捕食する虫にマッチさせるのがフライフィッシングなんだから、ちょっとくらいはそういうのを意識しないと面白くない。もちろんバッチリマッチしないと全く釣れない状況もあるのだし。 春先に淡い色のフライはまだわかる。そういう虫が確かに飛んでいるからだ。ただ春に濃い色の虫だって飛ばないわけではない。 逆に夏に淡い色のフライはちょっと使わないかなあ。そういうイメージがわかない。夏に白っぽい虫も見かけないし。ただ黒いだけでよく釣れるっていうこともあったりするしなあ。 |
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そしてこの季節になる訳だが、短絡の色の法則でいくと、淡さと濃い色の中間色ということになる。 季節の虫の法則だと、カゲロウもいればカディスもいればテレストリアルだって早過ぎるということはない。 ただそれぞれの虫たちの水面への干渉する時間帯は変わってくるだろう。 そうなるとこの季節は一番多くの種類のフライパターンを用意して行く必要があることになる。 そうは言ってもフライボックス自体の数はできれば減らしたい。 ならばある程度どの虫のハッチにも使えるフライを作るしかない。 |
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結局このフライは何を模したものなのか。 はっきりさせないところにミソがある。 |
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春と夏の間のフライ。それは濃い色のカゲロウにも陸生昆虫にも見える、まあ都合のいいフライと言う感じか。 ボディの色も真っ黒というふうではなく中間色のダークグレーくらいにしておいて、朝のうちはカゲロウ、日中は陸生昆虫なのだということにする。 まあこうすれば一本のフライで通せる理屈だが、実際にはそんなに甘くはない。色だけではなくシルエットもあろうし、浮き方もあろうし。沈めて使う場合もある。 ただやっぱり六月の釣りに使うフライは、解禁当初のものとも真夏のものとも違ったものには間違いない。漁期の中で一番あいまいな色や無難な形になるのかもしれない。 六月にハッチする水生昆虫ももちろん意識するし、アントやビートルを結んでも釣れるかも知れない。 でもどのフライにしようかと決めかねる時には、春と夏の中間フライを用意しておけば案外あっさりと食いついてくれるかもしれない、なんて甘いことを考えながらそんなフライを巻いている。 |
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