其の二百三  黒いCDC
黒いCDCは以前から売っていたし、僕も持っているから、別段特殊なマテリアルという訳ではない。
しかしほとんど使う機会のないまま、マテリアルの引き出しの肥しになっていた。
黒いCDC=黒いウィング と考えるのは単純だが、それが一番妥当かなとも思う。
しかしCDCダンを巻こうと思えば、ナチュラルカラーのCDCを使う。その理由は至極簡単、よく見えるからだ。
そして明るいナチュラルカラーだから釣れない、なんていうこともないし。
あらためて見ると独特の雰囲気を
持つマテリアルだなあ。
CDCダンを使う時は一応マッチザハッチを意識する訳で、その時ナチュラルCDCダンを使う時は、必ずそういうウィングを持ったカゲロウが飛んでいる訳ではない。
ウィングの色よりもCDCダンの現す状態や過去の実績でチョイスするケースの方が多いだろう。
そして見やすいと言う事。ナチュラルのCDCは良く見える。クリーム色というかカーキ色というか、そういう感じだ。そういう色のカゲロウもいるにはいる。
しかしカゲロウの写真を撮っていると、ウィング自体に色が付いているカゲロウはそんなにたくさんはいない気がする。むしろ無色で葉っぱの葉脈のような斑紋が見えるウィングを持つカゲロウの方をよく目にする。
無色で模様のあるウィングなら、むしろナチュラルのCDCよりも黒いCDCの方が見た目にも近くなるような気もする。
ただ先述した視認性の問題があるから、そこは工夫しないといけないが、もっと黒いCDCダンを積極的に巻いて使ってもいいんじゃないかと思った。

そしてこれからの季節ならやっぱりテレストリアルパターンに使って行く事になるだろう。
硬質なイメージのテレストリアルに柔らかいCDCはどんな使い道があるかなあ。
やはり黒いCDCならテレストリアルだろうなああ。
夏の黒い虫全般をイメージするなら、黒いCDCはフライの至るところに使う事ができそうだ。
ウィング、とくに甲虫ならアンダーウィングに使える。レッグに使うのもいいだろう。
それにどこの部位と具体的に決めないで、フライのアイ付近からソフトハックルのようにパラッと巻いて使ってみるのも面白いかもしれない。
今までのタイイングの考え方でマテリアルの役割を決めた上で、ここにこの材料を使う、という考え方からちょっと離れてみて、もっとラフに自由にこの黒いCDCを使ってみるのも良いかも知れない。
単純なものでこんなふうにこの話を書いていたら、黒いCDCを使って巻いたフライがなんだかとてもよく釣れるような気がしてきた。
こりゃあせっせと巻いて、早く試してみたいなあ。