其の二百二十八  梅雨入り・台風・タイイング
まだ五月のうちから台風だの梅雨入りだのと、四月になってもなかなか暖かくならないなあと嘆いていたそのすぐあとの出来事に、ちゅ、中間がない、とげんなり。
その日入手した本を読みながら、170年の間にはこんなせわしく季節が移ろう年もあったことだろうよと、タイイングを始めることにした。
解禁になってから怒濤の連続釣行で、そろそろひと息ついてもいいかとも思っていたし、フライボックスのスカスカ具合からしても、そういう時期だなという気はしていた。
雨の日には毛鉤の本を読んで毛鉤を巻くと言う
何年も変わらない過ごし方σ(^_^;)
アルフレッド・ロナルズ氏著、川野信之さん訳の「フライフィッシャーの昆虫学」は、雨の日の週末に読むのにうってつけだ。
左からめくって横書きの大きめの文字の本で読みやすい。
文中の彩色図版もきれいでこれまた見やすい。その図版のフライを見ていると、そんな当時のフライを真似てみたくなる。
そこに書かれたフライは果たしてドライフライなのかウエットフライなのか。はたまたそんなステージを意識していないものなのかもしれなかった。
ウエットフライのようなドライフライのような。
この本のフライはウィングに特徴が見られた。フェザーをウィングのマテリアルにしているものが多い。
そういえば最近巻くフライは・・・パラシュートにエルクヘアカディスに・・・そんなもんかなあ。ちょっとバリエーションが乏しい。とは言え実際に川で使おうと思わないフライを巻いてもしょうがないし。
ヘンハックルのティップを取り付けたドライフライを巻いてみた。水面に浮かぶカゲロウのウィングは、水上にあったとしても水中からヤマメが確認できるだけの存在感があるだろう。
この存在感のあるウィングがヤマメの捕食行動を起こさせるサインになると考えると、こんなフライを巻いて釣りに使うのは楽しいことのようにも思える。
この本にはパラシュートなんて当然載っていない。
パラシュートは80年くらい前に考案されたようだから、170年前に書かれるはずはなかった。
しかしよく使うフライにも170年前のテイストを盛り込めないかと半沈みのパラシュートにCoq De Leonのハックルティップをウィングに見立てて取り付けてみた。
あまりたくさんのパーツを欲張って付けると弊害もあるとは思うが、これくらいはいいかな。

iPadで台風情報を見るとどうやら温帯低気圧に変わったようだ。
雨はまだ降り続いていた。
水面で今まさにウィングが出たフローティングニンフ、
というつもり。