其ノ二百三十四  いつからタイイングを始めるか
気が付くと十月。日中はまだ暑いが、朝夕はすっかり心地よい。
日の落ちるのも早くなったし、夜長はiPadでごそごそしたり溜まった未読の本を片づけたりする。
もう少ししたらまた海にでも行き出すかもしれないが、まだそれにはちょっと早い。
そういえば禁漁になってから一ヶ月経つ訳か。
フライを始めた頃は禁漁になってすぐにタイイングをしていた。なんとも健気だなあ。
もちろんこのひと月、まだタイイングはしていない。
さて、巻くの? 巻かないの?
一番いいのは巻きたいと思ったら巻けばいいのだが、なにかと雑用に追われていると「まだいいか」と先送りにしてしまい、いつまで経っても巻き始めない。
釣りシーズンの終わった余韻を楽しむとか言っときながら、ただ面倒くさがっているだけとも言える。必要に迫られないと重い腰を上げないのは釣りに限ったことではなく、そうなると性格の問題だな、こりゃ。
タイイングも楽しみたいから、時間を空けるのは悪い事ではないだろう。久しぶりに巻くとまた新鮮な気持ちが戻ってくるかもしれないし。
そんな意味でもタイイングをいつから始めるか、いやいつまで始めないでおくかを、ちょっと考えてみようかな。
それとやっぱり釣りと離れた時期にはなかなか真剣にフライを巻こうというふうにモチベーションが上がってこないのもある。
特に禁漁直後は次の解禁まで一番離れているのだから、その気になかなかならないのも仕方がない。
禁漁になってすぐにロッドを買ったりしない(しても半年使えないのだから)のと同じだ。

それではいつから巻き始めるか? ということになるが、解禁直前になって慌てて巻くのもなんだし、どこか頃合いのいいタイミングを見計らう必要がある。
終わりなきタイイング。いつまで巻き続けるのか。
シーズン中にタイイングするのと禁漁になってからするのとでは、ちょっと違いがある。
シーズン中、特に釣行前夜に巻くフライは翌日の釣りを前提にした即戦力フライを巻くが、オフシーズンに巻く時は普段なかなか巻かないパターンを巻いたりする。
それもここ数年は海フライを巻くから渓流のフライは年を越してからようやく巻こうかなという感じ。
いずれにせよ以前のようにこの時期に巻くことはほとんどなくなったのだが、それにはなんとなく思い当たるフシがある。
半年間のシーズンを巻いて釣って巻いて釣ってと過ごしてきたから、禁漁をきっかけにちょっと休憩しようじゃないかということだ。釣りシーズンが終わったあとの余韻を味わう、とでも言えようか。