其ノ二百三十九  ローレットな道具たち
最近のカメラ(当然デジカメになるが)はボタンやダイヤルがなくなって、メニュー画面から操作することが当たり前になってきている。
でも直感的に操作するならやっぱりボタンやダイヤルでしょ。
そういう点が見直されてきつつもあるようだし、軍幹部にダイヤルがしっかり存在感を出してるカメラも出てきている。
カメラのシャッタースピードのダイヤルやレンズのヘリコイドリングを回しながら、僕はその感触を心地よいと感じる。
カメラはやっぱりダイヤルがないといけません。
もちろんここにも。しっくり馴染み、なくてはならない。
ローレットはすべり止めのためや強度確保のためというのがだいたいの役割なんだろうけど、道具としてはそれだけではなくなってきている。
ローレットが刻んである部位はそこが手で持つ場所だということを暗に示している。そしてそこを持つことでその道具はどのように動かしてどう使うか、というところまで使い手を導く役目も担っている。
そういう意味でローレットはその道具の顔というかかなり大事なポイントということになる。
今では当たり前でなにも考えることもなくその部位を握って作業をする訳だが、その道具にとってある部位がローレット加工されることはその道具の機能を成り立たせる要素のひとつになっている。
そうなるとこれからの道具選びにもローレット加工されているかどうかが判断基準になってきてしまいそうだ。
結果的に選んだ道具にはローレットがあるということになっているとも言えるが。
いやもちろんないものもある。必ずないといけないという訳でもないのだが、なんだかここまでくるとないと物足りないと感じるようになってしまった。
見た目にも使い心地でも、しっくりくるローレット加工された道具は、僕の身辺にきっとこれからも少しづつ増えていく気がする。
それは回転部のクリック感やトルクだけでなく、回転部に刻まれたローレット加工の感触がいいからだと思った。
ピラミッドパターンのローレットがもしなかったら、ダイヤルの操作がずいぶんとやりにくく味気ないものになっていたのではないだろうか。
気が付くと釣り道具、特にタイイングツールにもローレットを施したものがたくさんあることに今更ながら気が付いた。
バイスのジョーを締めつけるところは、手で操作するのみのはずなのにずいぶん削れてしまっているように見えるのは錯覚だろうか。
締めつけるときのすべり止め、というだけのものではない何か。
タイイングで一番長く使うボビンホルダーにも。
いつの間にやらなんだか増えてます。