其ノ二百五十三  廃盤フックで巻く
TMC 500U。アップアイはなんだかかっこいい。
海か川かと迷いつつ、まずは少しづつ両方巻く事にした。
川のフライは、前回のニホンジカカディスで、まあ勘は戻ったかなと思えた。
次に何を巻くか? まずはニンフか、とも考えたが、その前にちょっと思うところがあってフックを入れている引き出しをごそごそし始めた。
引っ張り出したのはTMCの500Uというフックだった。すでにカタログには載っていない廃盤になったフックだ。
このフックで巻くのもずいぶん久しぶりだった。
一番大きいサイズで#16なので、常用で使うというより、ここはこれでないと、という場面で使うフライとして巻きたい。
CDCダンか、コンパラダン、やはりそんなフライに使うフックだ。

次にTMC205BL。このヘの字に曲がったシャンクの変わったフックは、売っていた頃はカディスピューパのフックとしていた印象が強い。
それならとピューパを意識しつつもパートリッジを巻いてソフトハックル風にしてみた。
これでこのフックの形状を生かせているかどうか?
TMC 205BL。このフックの正解のパターンはなんだ?
釣り仲間のYにこの廃盤フックのフライの写真を見せると「フライ始めた頃を思い出すなあ」と言ってきた。
そういう印象がこれらのフックにはあるのだろう。逆に言えば、強く記憶に残るフックだったと言うことかも知れない。
そんな個性的なフックがだんだん廃盤になっていって、割りと汎用的なフックが残っているということになるのだろうか。
少なくともこれらのフックの印象がこの釣りを始めた頃の強いユーザー体験のエッセンスになっているのは間違いなさそうだ。
復刻なんてことにはならないかも知れない。僕の手持ちのフックも限りがある。いつかは手元からなくなってしまう。それまではまたこのフック達を引っ張り出して巻いてみる事にしよう。
曲がったり伸びたりすると完璧なんでしょうけどσ(^_^;)
廃盤フックの本命はなんと言ってもTMC400Tだろう。
このうねるように曲がったシャンク。スイミングニンフを巻くために特化されたフックだが、なんともユニークだった。
スイミングと言うくらいだから水中で自然に流すと言うより、アクションを加えることを想定しているのだろうか。
真っ直ぐなシャンクが不自然なら曲がったままで維持されているシャンクも不自然と言えるかも知れない。
水の上ではそんなふうに好き勝手に想像するが、そんなことは水中のヤマメの知った事ではない。
TMC947BLというフックもあった。シャンクがゆる〜くカーブしていて、それは虫の姿勢を表現しているのか、動きを表現しているのか?
このフックを見ていると逆に真っ直ぐなシャンクの方が不自然な気もしてくる。
実際に巻いてみると、ダビング材の厚みで微妙なカーブは隠れてしまいそうでもあるが、完成するとストレートシャンクのフックとは明らかに違うシルエットのフライが浮かび上がる。
もちろん人間視点で見た場合、だけど。
ゆる〜くシャンクがカーブしたTMC947BL。謙虚に虫らしさを演出?