其の百二十八  釣りと火器(2)
二年前(2005年)の釣りシーズンではストーブを持って行って、釣りのあとはなにかしらあったかいものを腹に入れてから帰っていた。
おおかたの予想通り、それを毎回したのはその年だけに終わった。
それでもその時に活躍したMSRはその後も何かの折りに引っ張り出してはあれこれ使う機会はあった。

ところがそのMSRを今年のキャンプで壊してしまった。使い慣れた道具になっていただけに、MSRがないだけでなにかフットワークの足かせになったような感じだった。
オプティマス復活! 
むむ、火力が安定しません・・・。
ごそごそと部屋の隅の荷物置き場から取り出したのはオプティマス8Rハンターだった。
MSRを手に入れる以前はこれがメイン火器だったのだが、すっかりお蔵入りになっていた。
今回めでたく復活とあいなったが、果たして火がつくのか?

もともとオプティマスはバイクツーリングをしていた頃に買ったものだ。蓋を閉めると突起のない四角い箱になるから、パッキングしやすいのが買った理由だ。もう20年以上前になるかなあ。
在りし日のMSR。点火しやすさと火力は言うことはなかった。
今年の釣りでは夏に仲間と行った時には昼ご飯を準備した。サタケのマジックライスにパスタにコーヒー。
さすがに以前のような、ひとりで釣りに行った時の昼ご飯は今年はしていない。
コーヒーだけでもと思わないでもないが、荷物やその準備で増える労力と、それを使わずじまいで帰る可能性の高さが頭にあるので、なかなか実現しなかった。
釣り場で一息入れるのに、河原に座っておにぎりやペットボトルのお茶を口にするのもいいが、場所の移動で車まで戻ることがあるのなら、熱いコーヒーもいいなあ。
もし来年それを実現させるのなら、ストーブをなんとかしなければならない。
袋ラーメンも川で食べるとおいしいです。 ひとりならパーコレーターでなくドリップで。
週末、このためだけではないのだが高速に乗った。ほこりまみれのオプティマスを持って、である。
インターチェンジを降りてすぐのところにある春先に良い支流に入った。すでに山は色づきハラハラと葉が舞い落ちている。
現役で使っていた頃はメタっていう固形燃料をプレヒートに使っていたが、今はもうそんなのは売ってないのかなあ。注入中にちょっとこぼれた白ガソリンでプレヒートすることにした。これはMSR方式だ。
プレヒートが済むとそのままバルブをひねった。一気に火柱が上がったからちょっとビビったが、しばらくすると落ち着いた。なんだちゃんと使えるじゃないか。
お湯を沸かしてみたが、火力はMSRとは比較にならなかった。ずいぶんと時間がかかる。
それでいてタンクが小さいから燃焼時間も期待できない。
まあこいつはどうみても湯沸かし専用器ってとこだろう。
それでもやっぱり点火して仕事をする道具はなんか頼もしい。
飲み食いにつながる火を使った作業は、やっぱり人の生に密着した行為であるがゆえ、人の深いところを強く刺激するみたいだ。
僕はでき上がりつつあるラーメンに大いなる期待を抱いた。
水辺に置いて使えます。MSRなら無理ですが。