其の六十八  釣りと火器
今年は釣りにストーブを持って行っている。まあ、そうは言っても自分のことである。わかっていた。いいとこ三回・・だなって。

最初はコーヒー。四月だったが山はまだ寒く、暖かいものが嬉しい季節だった。それでもパーコレーターでコーヒーを淹れると、カップ2杯飲めば十分。半分以上は捨てる事になる。
次の釣りではラーメン。このストーブの火力の強さに慣れておらず、数十秒で吹きこぼれた。それでも外で食べると、麺だけでもあらら、旨い。
ロッドが曲がるのとストーブが赤く熱せられるのと。道具の仕事が見える時。
ノルマ達成(?)の三回目、これもラーメンだったが、全回のスタンダード袋麺ではなくて茹で時間四分のハイグレード袋麺にしてみた。
確かにそれっぽい雰囲気はあるのだが、自分的には袋麺のあり方はそのチープさにある。ちょっと安っぽいと言うかジャンクフード的なモノを求めている側にしてみたら、高級麺高級スープは全くもって大きなお世話なのだ。
まあそれは私の勝手な袋麺論でしかないのだが、肝心なのは釣り場でストーブに着火することだ。こうなると、もう一回はやってみない事には気が済まなくなった。
ブラスのパーコレーターですらあっという間に吹きこぼれる。この火力の融通の効かなさがいいのよ(!?) 西条S社の「マジックライス」。ひと月あけば、また食べたくなる味です。
近所の大型ショッピングモールのスポーツショップで、「お湯を入れてかき混ぜて15分で」出来るフリーズドライのご飯ものを見つけた。
おおかたの予想に反し、四回目はこれだ、と早速購入。次の週末試してみたのだが、これが結構イケルのだ。五目ご飯にチキンライス・ドライカレー・エビピラフと、いくつかバリエーションもあり、「釣行先の現場でで温かいご飯物を手軽に食べる」というぼんやりとあったイメージにしっかりミートする製品だった。
しかしふと気がつくと、ストーブはお湯を沸かすことしかしていない事にも気がついた。
ペンネもカッペリーニもカンタンにアルデンテになっちゃいます。
打倒「○パ王」!!
またまたスポーツショップに立ち寄り、商品を物色する。あれ?でもこのパターン、前にもあったな。そうそう、フライを始めたばかりの頃の頻繁にフライショップへ立ち寄る「あれ」といっしょじゃん。おんなじことやってんな、相変わらず。
次に見つけたのは輸入品のパスタモノだ。熱湯にどさっと入れて5〜7分かき混ぜながら茹でるだけ。 ん?これって○清の袋麺の焼きそばとおんなじ作り方じゃね。ま、旨けりゃいいんだけどね。
お湯を沸かすだけよりはストーブを使ったっていう実感が強い。外で食べるご飯はある程度手間を掛けた分、食べる時の付加価値が上がるような気がするし。
我ながらよく続いていると思う。
それなりに時間がいるし、なにかしら面倒くさいってことになるだろうと思っていたが、そうはならず甲斐甲斐しくプレヒートを繰り返している。
人間なんて結局いたって分かりやすく出来ているモノで、なにか面白いと感じるところがなければ、ひとつのことがそうそう続く訳はない。
炎が上がりストーブの皿が真っ赤になることが、そしてその熱で昼ご飯が作れて食べられるっていうことが、面白いと感じているのだろう。
自分の仕事がカタチを成すという図式はフライフィッシングにも通ずるのかな。
カメラを使う事にも当てはまるこの図式。