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2026 釣乃記
第拾陸話 こんな釣りもある
昼飯は10時だった。食べ終わるとすぐに眠たくなり、僕はチェアに座って眠りに落ちた。ふっと目が覚め、また眠る。
車が1台通過し、完全に目が覚めた。寝ている間は1台も通っていなかった。渓流沿いの狭い道だし、通り抜けで使う人もいない。通るのは数軒の農家の人の車か、釣り人くらいのものだろう。 日差しが復活し、暑さが加速する。木陰だったからゆっくり眠れたが、この日は朝から蒸し暑く、渓に立っても心地よい涼風は吹いてこなかった。前日に雨が降ったはずだから、その湿気をたっぷり含んだ空気が、まとわりつくような蒸し暑さを増幅させているようだ。 数時間経ったのにまだ引きずっている。釣ったゴギを逃してしまった。アレを水辺に横たえ写真を撮っていれば、意気揚々と帰れたものを。 僕の釣りに行くエリアの禁漁、八月末を目前に、僕はこの日を今年のラスト釣行と決めて出掛けてきていた。温存しておいたゴギポイント、居るとわかっていて釣ってシーズン終了っていうのも安易な気がするが、ラストくらいは楽に釣ってほどほどで有終の美を飾って帰りたい。そう思ったのだ。
朝が早かったから、熟睡モードのすやすやタイム(-o-)
いいゴギだ。僕はティペットをつかんでゴギをぶら下げた状態で河原へ移動しようとした、その時。ポロッとゴギがフックから外れた。ゴギは川の中へ。
僕は一瞬呆気に取られ、現実がうまく受け入れられずにいた。 (いや、待ってくれ、ウソでしょ?) この日の忘れ物がこんな形で繋がってしまった。 目を覚ました時、何も変わっていなかった。睡魔もあったが現実から目を逸らしたかったから、眠りに逃げ込んでいた。
釣り人よ、肩を落とすな。これも釣りだ(^^;)
この日は4時起きで出発し6時には川に着いた。支度を始めてネットのケースを見て、(ないっ!)っと気がついた。ネットを持ってくるのを忘れた。
前々回、ティペットを忘れた時もやらかしたと思ったが、今回はネットか。釣ること自体には影響はないが、ないとなんか冴えない。 気持ちを切り替え釣りを始めた。車を停めた場所から歩いて下流側に移動して入渓したのだが、始めてすぐ道路に車が停まった。どうも釣りの準備をしているようだ。 ラストもぐもぐ、出前一丁。
釣り前夜の晩酌。オクラとミョウガのピクルス、そして北海道とうもろこし。うま〜。
チビゴギは釣れました(^^:)。
そこは水位が下がりポイントは攻め易くなっていた。水が落ち込むすぐ横、石のギリギリ際にドライフライを落とすとバッとひったくるように出た。合わすと掛かった! 引きが強い。
・・っと、ふっと軽くなった。 (バレた! ウソだろ〜!?) 僕は身体の力が抜けるような気がしたが、最初のゴギを逃がしたほどのショックはなかった。 いい引きだった。来年はきっと釣ろう。 ミンミンゼミの鳴き声が渓流に響き、僕はリールを巻いた。 僕は鈴の音をわざと立てながら釣りを続けた。ドアを閉める音が何度か聞こえていたが、結局釣り人は姿を現さなかった。僕が居ることに気づいてくれたのだろう。それにしても釣り人らしき車が多い。来る途中にも何台か見た。前回の釣りの時は見なかったが、禁漁前最後の週末ということで、行っとこうかと考える人は多いだろう。
この日の場所は前回と同じ。実は前回、まずまずのヤマメを釣ったあと、もう一匹良いのが出た。合わせたがフッキングしなかった。あまり深追いせず、同じ筋にあるゴギポイントも温存して納竿とした。次の週のラスト釣行のためにとその時から計算しておいたのだ。 ここに入ろうとした人がいるのは想定外だったから、早過ぎるかなと思った4時起きは正解だった。そして前回掛からなかったたポイント、丁寧に投げたが出なかった。同じ場所にはずっと居ないのか。それならと、温存ゴギポイントに向かい、狙い通り良い型が掛かった。しかしネットがない。そして、逃してしまった。もしネットがあればこんなことにはならず、気分よく釣りが終われたのに。でもそれも後の祭りだ。 僕は意気消沈し、早めの昼飯と昼寝を決め込んだ。 ひと眠りして気持ちがリセットされたところで、もう一箇所、最後の最後に温存していた別のゴギポイントに向かった。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |