青い残像を残して飛び去った。
「カワセミか?」と、ロッドを振る手を止めてチェストバッグからカメラを取り出す。およそ10秒遅い! しかもマクロモードだし。
今シーズンは諸々の事情で圧倒的に日曜日の釣行が多い。以前は敬遠しがちの日曜釣行だったが、その日しか行けないンだから四の五の言ってられない。選択肢はそれしかないのである。そんな中でしっかり釣って、カワセミの写真まで撮ろうなんてあなた(誰?)、ちょっと無謀でしょ??
さわやかな木漏れ日? いーえ、そーとー暑いです。
インターチェンジを降りたのが午前六時半。あたりの山にはまだ低いもやがかかっている。
「カッパとか持ってこなかったなぁ」と若干不安になったりするが、十数分後には余計な心配だとわかる。やおらもやは吹き飛び、強烈な陽射しが容赦なく木の枝の毛ばりを取るのに苦戦している私に降り注ぐ。まだ七時だしっ!! もうロストは二つめだしっ!!!(やれやれ)

前日の入渓者がどれだけの数でどれだけの影響があるか、なんて知るべくもないんだけれど、人の多い日曜よりは土曜、更には翌日が仕事の月曜よりは日曜、と言った具合に日曜日が土曜日に勝る要素はない。
ならばその逆説を唱えようではないか、世のサンデーフィッシャーマンの方々!! 日曜日に良い釣りをする釣り師こそが・・・なんだからね!!・・??
天気は日曜日の方が良かったのです。
それでも川沿いの県道を通る車がないなんてあり得ない、と思ったらホントに通らない。軽トラ一台通らない。本流は鮎師であれだけ賑わっていたのに、この谷のこのあつかいと言ったらどうよ?
まあ、それはそれで良いんだけどね。なんの気兼ねもなく思う存分ロッドを振れますもん。ただ、振るだけでサカナがなかなか出ンなぁ・・。
時間の経過とともに気温はアマゴ、もというなぎ登り。帰ってから調べたけどこの日のここらの最高気温は29度だった。
ギャラリーは花の方々のみでした。
ライズ後。一丁前ですな。
子アマゴのライズ前。
予報では土曜日にでも梅雨入りとか言ってたがそれらしい天気は週明けにずれ込み、この日は上々々の好天で上がる気温に反して日中はサカナも釣り人もモチベーションは下がる一方。
ちらりほらりとアマゴの反応があるものの、出方もシブイシブイ。なんとか数匹釣ってはみたもののなんか調子が出んし暑いし。
木陰で休んでいるとプールでライズを見つけた。釣るまでもないサイズだったからライズの様子をパシャパシャ撮ったが、小さいのにちゃんとライズするもんだ。
今回はゼンマイボディのシンプルなパラシュートで通した。
そろそろお昼になろうかという時間。
空に雲はなく、川筋に風もない。
まさか蝉は鳴きはしないがカゲロウの飛翔も見られない。
三月でさえ、真っ昼間の釣りには苦労した。午後五時の夕まずめ前の時間にようやく活性が上がったということもあった。それから三ヶ月たったのだ。太陽が真上にあって何が出来るものか?
ふと今日は昼で納竿としよう、と思った。明日は仕事だし無理する事はない。好きな時に釣りをして好きな時に帰ればいいのだ。誰になんの遠慮もない。
横川吸虫ひとつない美しい魚体とくっきり鮮やかなパーマーク。
道路に上がり車まで戻る道すがら見るともなしに川を見ると、さっきのプールの子アマゴはまだ定位したままだった。しばし立ち止まって眺めていると、またしけたライズを繰り返している。
と、そのさらに底の方に大きな黒い陰がうっすら動いた。
「居たの? あんなのが??」
冗談じゃないです。速攻川への降り口を探す。この季節ってこれだからやめられない(ん?やめようとしてた?? 誰が?)
場合によっちゃぁ警戒心の緩む時間まで待たなきゃならない。こりゃぁ、明日の仕事がしんどくなりそうだっ。
道端の花たちも夏の化粧を施す。