インジケーターの20cm上流で飛沫が上がった。
フェザントテイルは水中のはず、いや水面直下か? だとしたらむやみに沈めるのは得策ではあるまい。どうする?

フライボックスを開く。最初結んだパラシュートは全く反応がなかった。半分沈むヤツにするか。
と、シャックを引っ付けたCDCパターンを発見。ああ、こういうのあったなぁ。脱皮殻を引きずったパターン。えっと、そう、スティルボーンだ。
今週は晴れました。
ただし、雪は前より増えてます。
木曜日の午後からみぞれともボタ雪ともつかないモノが落ちてきた。四月を目前の冬型の気圧配置に、私は落ち着かない。
解禁からの釣りは体力の回復が追いつかず、釣果の方もかんばしくなくで、気持ちが昂ぶるほどではない。
今週末には期待をしていたのだ。それがこのざまかよ。じゃ行かないのかと言えば、やっぱり行くのだ。行ってやるのだ。

インターチェンジを降りてほどなくしてその支流は延びている。支流沿いにはぽつりぽつりと民家があるが、そんな集落よりも河川改修の工事の方がにぎやかである。なんともはや。
雪はやはりというか、あのぼたぼた加減からしてすぐに溶けることは予想していた。そしてこの増水具合も。
増水していて、しかも冷たい。最悪だ。
だからパラシュートを諦めフェザントテイルに結び替えたのだけれども、どうやらまた様子が変わってきたようだ。
雪代とまではいかないが、十分しんどい水位。
いきなり釣れ出した。
果たして水面下にぶら下がるシャックがどこまでアピールした結果なのか、とにかくやたら反応が良い。
感じのいいプールでは何匹もフライに出てくる。ただみんな呆れるくらいに小さい。フッキングしたらこっちにバンバン飛んでくる。
それでも陽射しはあるし風はないしフライは食うしで、にぎやかになってきた。ただ、ひとつのプールで何回も出てくるチビヤマメばっかりかまうのも、なんだか大人げない。
もうちょっと緊張する場面が欲しいなぁ。
メタルな輝きを放つ春ヤマメ。
CDCウィングとシャック。
今日はこれがアタリでした。
フェザントテイルはいい時はいいんだけど、わかりにくい?
大型のカゲロウがパタパタと飛び始めた。
自分の体が重そうだ。ふと、卵塊を付けたカゲロウが目の前をかすめた。目立つなぁ。卵塊パターンもアリなんだろうなぁ・・、なんて思ってるとそのカゲロウはボテッと水面に落ちた。
「ガバッ!」一瞬目を疑うような光景だった。空中のカゲロウが見えていたかのように着水と同時に白くデカイ魚体が躍り出た。
(フライマンの前でライズ? バカじゃないの? こりゃモラッタ。)
ちょっと前から付け替えたクリップルダンをそのまま使う。こいつもだらりとシャックをぶら下げている。
一投目、またもや着水と同時に、しかしフライの少し上手で白い魚体が飛び出し、私の右手はビクッと動きそうになる。直後、今度はフライの下手で同じようなサイズの魚体がまた飛び出す。
「うおーっ!!」 
我慢できずに意味不明の雄叫びを上げて私は全く無視されたフライをあおった。
魚達と私を混乱させたクリップルダン。 食った時にはがっぽりいってます。
十回くらい投げたら流石に魚も姿を現さなくなった。
(フライのサイズ?) クリップルダンの小さいヤツなんて持ってない。CDCダンをムリヤリ半沈みに成型して、ようやく釣ったのはやっぱりチビだった。

「お気をつけてお帰りください」
高速券を手渡しする料金所のおじさんが声をかけてきた。なんで帰るってわかるんだろう。時間がそれくらいだからか。でも、釣りから帰ることまでわかっているような言い方が、ナンダカ沁みちゃうなぁ(なんじゃそりゃ)。
この日は工事現場横で釣ったのがイチバンマトモだったです。