週末の隠れ家。M川クラフト の新しい店舗。
金曜日の仕事の帰りはここに寄る。
Mカワクラフトの新しい工房だ。この8月に移転された。新しくなった店内はシックにまとめられていて、フレッシュな印象がある。
でも店内の配置にM川氏はまだ慣れないのか、勝手が違うと言わんばかりに動きがぎこちないようだ。
店内に入ると 圧巻のロッドラックが出迎えてくれる。
イスに腰を下ろすと、M川氏にとっては仕事場なのだからちょっと申し訳ないが、すっかり落ち着く。
私にとってはやはり週末の隠れ家としては、申し分ない。ここから始まる釣りもあった。ちょっと話に出た川の情報だけを頼りに釣りにでかけ、大釣りをした、なんて事も今年一度あったし。
レジカウンターの奥の窓から工房が見える。
またこの日もM川氏とあれこれ話をするのだが、禁漁となっては話す内容も違ってくる。オフシーズンの話題は「今年どうだったか?」と「来年はどこへ行くか?」 という事になる。 
来年の話など、なんとも気がはやいようだが、実はそうでもない。 呆気なく来年の解禁はやって来るのだ。
そして、竹に命を吹き込む机。
釣りを取り巻くもろもろを考えると、なにかと具合の悪い話が聞こえてくる。業界の景気、釣り人の数の増減、特定外来生物新法 などなど。
それが自分たちにどう関わってくるか、遠巻きにM川氏は気にかけているようだ。
私たちは楽しく釣りがしたい。それがそう単純には行きにくい世の中になっていることに危惧するなんてことは、釣り人にとっては余計な仕事なのかも知れないが。
で、やはり毛鉤もここで巻きます。 ↑
自分の釣りのこと、周囲を取り巻く様々な環境のこと、身近から広範囲までいろんなことを考える反面、すぐ目の前の机で毛鉤を巻く。 それは頭の中で巡らせるありとあらゆる事柄の行き着くところで、一本の毛鉤にそれらが凝縮されているとも思える。
目の前の机で巻かれる、こんなちっちゃな一本の毛鉤の中に、なんだかずいぶんと大きな宇宙が存在しているようだ。

入り口の窓から外を見ると、夕方のラッシュの時刻になっている。渋滞につかまった車の人を見ていると、彼らには悪いがこうやってゆるく時間を過ごせている事の贅沢きわまりない感覚を、たっぷりと味わえる。