「どうなる事かと思ったが、なんとか片づいたようだ」
と、ほっと胸びれを撫で下ろす鱒たち。
2003年9月にF氏の机を紹介してから、一年半。再び彼の机の登場となった。
送られてきた写真を見ると、前回の時の机の面影はない。見事に彼の毛鉤机は蘇生したようだ。机が機能していない時は、仕事やら何やらで忙殺されていることが多い。
机が活きた呼吸を開始してこそ、それを取り巻くイロンナことが回転し始めるのだ。
ひとつの机を迷わずタイイングのためだけに・・。
その潔さが気持ち良い。
やはり私はなにかをするための出発点に「机」があると思う。
ひとつのジャンルを突き詰めて、そのためにあつらえた机が物置みたいになってしまっていては、きっとそのジャンルでは大成しない。
机が機能して、巡り巡って結果に繋がる。やっぱり出発点は「机」だ。
「机」が生み出した毛鉤たち。
今回、一念発起で部屋や机を大片づけしたF氏は、ここ数年なかなか釣りに行けなかったようだが、今年は結構あちこちに出没しているようだ。
「10年前のフライボックスも出てきた」と、F氏は言っていた。これも今年の釣りに拍車をかけているに違いない。

机の上でなんだか細かい作業を始めて、出来たモノが箱の中に詰められて、そいつを持って高速に乗り何キロも走り、そして川に立ち糸の先にそれを結んで投げ、ガバッと食いつく。その机上のひと巻きから魚を手にするまでの幅のある過程は、この釣りにどっぷり首まで使って逃げられなくなった人の、しっかり理解できる理由になっている。
圧倒的存在感の机と様々な道具達。なにか忘れかけていたヘヴィーな世界を思い出させてくれる。
さてF氏、問題はもう一年半後にこの机の状態が維持していられますか?ってことですよ。