T氏のタイイングデスクを見てみるとなんとも質素というかシンプルである。
ツールボックスにさらりとマテリアルが詰め込まれて、あとは必要最小限のツールが並べられているだけだ。
バイスだけはしっかりとしたものを置き、あとはただ巻くことにのみ集中するというタイイングスタイルが見て取れる。

T氏の釣行回数はひとシーズンで50回を超える。そのハードな釣行から想像したタイイングデスクは、もっとツールやマテリアルで溢れているのかとばかり思っていた。
送ってもらった写真を見る限り、タイイングする時だけ道具を机の上に出すのだとわかる。
圧倒的にシンプルで、でもこれだけでも事足りるって言えば・・・そうかも。
タイイングの時間がリラックス出来るようなそんな机。
実際タイイングする時に使うマテリアルやツールは持っているもの(あるいは売られている、商品としてラインナップされているもの)全てを同時に総動員して・・なんていうことはまずない。
吟味に吟味を重ねて必要最小限に絞り込んだものだけを机の上に配し、イメージしたフライを巻く。
私はT氏の机の写真を見て、とても新鮮な驚きを覚えた。
フライを始めたばかりの頃、ツールにしろマテリアルにしろ、それを買いそろえて行く事が楽しみでもあった。だから知らず知らずのうちにかなりの数のモノが部屋に溢れる事になったのだが。
T氏自信の一本。この秋の海は荒れるそうです。
T氏の場合、決してタイイングに多くのウェイトを置くタイプではなさそうだが、楽しみ方は人それぞれ。部屋の事情とかもあるし、常時行うわけでもないタイイングに、多くの場所を割けないこともあるだろう。
そんな中でも、また渓で水面に浮かぶフライを、そのフライが消し飛ぶ飛沫を、想像しながら巻く一本は、きっと魚達を魅了するはずだ。
晩ご飯を食べる時には片づけます。