その8  沈まないニンフと浮かないドライ(2)
せっかくこんなによく浮くんだから(前回の沈まないニンフの章)、それをドライフライに応用できんもんかと思うのだが、こんなけば立ったボディをカディスはまだしもカゲロウのパターンには使いようがない。
そもそもドライフライのボディってそんなに浮きそうな感じがしない。あれはダンやアダルトのシルエットを表現するために細身のシルエットになっている訳だろうから、例えば同じウェイトなしのフックにスーパーファインできつく細くダビングしたものとヘアーズイヤーでふんわりダビングしたものとでは浮力の差は明らかだ。
やはりCDCは偉大なのだとついつい使っちゃう。ただ釣り上がりの釣りに使うのは・・。
ドライフライはシルエットをリアルにするために浮力を各パーツに点と線で受け持たせている。それはハックルやテールやウィングとかで、絶対的な浮力ではなく必要最低限の、シルエットに影響のないパーツによる浮力だ。
と実際はそううまくはいかず、上の写真のようなパターンではCDCウィングの浮力だけに頼っているのが実情(なのは私だけ?)。
ハックルとテールとウィングの接水面で浮かすとはなんとも頼りないと改めて思うのだが、その頼りなさこそが水面に浮かぶカゲロウなんかを表すことだから、浮力が頼りないのはれっきとした釣れるドライフライの条件を満たしている事になるんだろうか?
ハックル・テール・ウィング、そしてボディと結局各マテリアルが浮力を分担してる。
まあ確かに全く不安もなくがっつり浮いている毛ばりにゃよっぽどスレとらん魚でないと見向きもしないのはたやすく想像がつく。そうすると、やっぱり長々と浮力がびくともしない毛ばりを望むのは、魚を誘う能力と相反するということになりそうだ。
ライズを取ろうとしている時以外で釣り上がりの状況ではやっぱしまめにフロータントを塗るしかないのね。
しかしこのオフシーズンにドライフライの浮力の強弱に頭を悩ませる(??)釣り師に朗報がある。例によってひいきのフライ用品メーカーのC&F社の「PowerFloat」がそれだ。
ちゃんと商品の説明書にも記載されていることだが、付着性と持続性が従来のフロータントのそれではないらしい。浮力にしてもフロータントは浮力があるのではなく、水を弾いてマテリアルをドライの状態に保つのが役目(世に言う撥水性)だから、水を弾く能力というのならそれは強弱よりも持続時間の長さが決め手になろう。
ありゃりゃ、キャップとチューブがつながってないがな。こりゃなくすわ。
更にはジェル状のフロータントでありながらサラサラでべとつかず、CDCパターンにも有用だというのだ。CDCの水面干渉の効果をライズ狙いやワンポイントだけでなく、浮力の長く続くパターンとして釣り上がりに使いたい場合にまさにうってつけ。
効果のほどはCDCに塗ってコップの水に浮かべてみただけだが、その場にいる限りは沈む事はなかった。流れの中では果たしてどれだけ効果が持続するかは来シーズンのお楽しみっ!!
PowerFloat塗布前と塗布後のCDC。塗布後でもファイバーの繊毛が立っているのがわかる。