その32 水辺の近況 「午後の河原にて」
ひと月ぶりの川で元気なアマゴを見て、「来年の解禁日に居なくなっちゃうのかなー」なんて夢のない事を考えないで、来シーズンもがんばろうなんてはりきるにはあと四ヶ月半はちょっと長いな。

この日の出で立ちはジーパンにトレッキングシューズだったが、面白い事に山の斜面を河原まで降りるのが妙にぎこちない。ちょっと時間が経ったからか? とも思ったがどうもそうではないよいうだ。
わずかに色づく葉もちらほらと目に付いた。
考えればウエーダーにウエーディングシューズなんて格好よりもよっぽど動きやすいように思えるのだが、体がそっちの格好での動きに慣れてしまっているようで、そういう格好での斜面を降りる時のバランスの取り方が身に染みついているみたい。明らかにウエーダーにウエーディングシューズのほうが軽やかな記憶がある。

もうひとつ気がついた事に、ひょいひょいと良型のアマゴを目にする事が出来た流程は限られていて、少し違う区間を覗くと全くコッパアマゴですらその魚影を見る事が出来なかった。
ここでいう魚影を見れた区間=釣れる区間、見れなかった区間=釣れない区間 という図式になるかと言うとどうも、なるみたいだ。
秋雨前線もなりを潜め、渓は渇水の様相。
やはり川の中に何がしかの自然環境が備わっているが故の、魚の定着する・しないの分かれ目が存在するのは間違いないだろう。尺モノが居たポイントはまた付くって言うのもそういった条件がさせているからだろうし、わかる話だ。
しかし前回も書いたけど、不思議なくらいに禁漁になったら釣りの欲は引っ込んでしまっている。だから川で良型のアマゴがぷかんぷかん浮いてても別段平常心でいられるのだが、解禁日にばっさりやられちゃうのが面白くないんだよね。
静かに川を見つめ続ける。
好ポイントでも魚影の見えない所もあった。 日が傾くと、一気に冷え込んでくる。
でもまあ川から魚が一匹もいなくなっちゃうなんてことはありえないだろうから、せいぜい解禁後のラッシュをかわして逃げ延びて欲しいもの(そんなヤツは私の毛ばりになんてそれこそ見向きもせんちゅー話もある!むむむっ!!)。
いやそれでもいいじゃないですか。釣りの技量は置いといてとにかく魚がちゃんと川に居るって事でしょ、まずは。などと自分を納得させて、陽の傾いた谷をあとにした。
!! 推定35cm! こいつは心臓に悪いっ!?