其の七十  古今毛鉤釣り調べモノ事情
ホームページを運営している関係上、あんまりとんちんかんなことは書けない(えっ? 書いてる? まあそこは、大目に見てやってくださいな)。
そこで辞書を引く事になる。小学館の新選国語辞典である。初版は昭和三十四年だ。私はまだ生まれていない。
もちろん改訂が加えられ、私の持っているものは昭和五十年の新版六刷だ。それでも相当古い。ちなみにこれで「フライ」を引いてみると、
フライ<fly> 野球で高く打ち上げたボール。
フライ<fry> パン粉のころもを付けて油で上げた料理。
・・くらいしか載ってない。
エルゴソフトの電子辞書ビューアー。三省堂の大辞林と研究社の新英和・和英中辞典を閲覧出来る。
しかし、そこはそれ、時代の移ろいというものがある。
パソコンの検索サイトを使ったり、電子辞書で引いたりっていうのが今風でしょう。
前者はどちらかというと、検索スパンが広すぎて、絞り込みに工夫が必要となる。それに対して後者は欲しい情報にかなりイイ線でミートしてくる。
ただ、「何も見つかりませんでした」なんて言う、いたって冷たいコメントが返ってくることも多々ある。
見つからないケースのほとんどが、フライフィッシング用語であることは、想像に難くない。
検索エンジン「Google」でヒットした「フライフィッシング」関連サイトは132,000件。
試しに「ロイヤルコーチマン」で検索してみた。
やはりというか、電子辞書では「何も見つかりませんでした」と出たが、ネットの検索サイトでは915件がヒットした。ある程度絞り込んだ結果か。ただ、ネットでヒットしたサイトに自分が求めている情報が必ずあるとは限らない。ただ文字列が載っているだけのことも多々ある。
なんか、もっと自分の欲している、それこそ「辞書」的なものはないだろうかとぼんやり思っていたが、そういえばそういう本がこの春に出ていた。
川野信之氏のフライフィッシング用語辞典は、値段も張るが中身もはちきれんばかりだ。
値段が五桁のフライ関係の本を過去にもなんどか買った事はあるが、その存在感が逆にページを開かせにくくしていた。もっと気軽にパラパラめくれるのが本の良さのように思うのだ。
そういう意味ではこの辞典もなかなかの存在感だが、本自体の目的がはっきりしている分、必要な状況ではすぐに手が伸びるとも思う。
これで今までぼんやりとしか知らなかったようなフライ言葉がもう少し身近になる。
この厚みは発売前に想像していたこの本の出来映えを、遥かに超えていた。
流石にこの本だと○学館の新選国語辞典のようなことにはならない。三千語からの「フライ」に関わる言葉が載っているのだ。
電子辞書や検索サイトも確かに便利だ。だが、同じ言葉を探すのにもただキーワードを入力欄に入力するのとは、重みというか趣が大きく異なる。
更にはやっぱり 紙とモニターとでは、断然紙の方が見やすい。これはどんなに液晶モニターがきれいになっていっても追いつけないだろう。
適度な強度、柔らかさ、質感はどれもモニターにはないものばかりで、ただ事務的に得られる情報以上のものが伝わってくる気がするのは考えすぎ?
意味なくめくったページですら、それなりに読んでしまう。