その19 春を待つ傍らの糸巻き
ひとたび雪がやみ陽が照るともうすっかり春の気配で、きっとたっぷりあるのが容易に想像できる積もりに積もった雪ですらあっけなく溶かしてしまいそうで、いや、今年の雪はちょっとそうはいかないでしょ? とも考えたりするのだが。
ともあれ2月は「逃げる」3月は「去る」(ありゃ、終わっちゃった!)。すぐに広島も解禁になり、カゲロウが飛び交い始める。そして魚がいなくなるのも季節の移ろいも競争するかのように早く過ぎ、それでも釣り人は寸暇を惜しんで谷あいを右往左往する(むむ、私だけ?)
フェザーウェイト、スタンバイ完了!?
しかし、あれほど待ち望んだ解禁。やれあの川のあそこはとかあのプールはとか、さんざん想像を巡らせていても、いざシーズンに突入すると案外落ち着いたもので、解禁直後の魚影に期待するか、人の多さの落ち着くのを待つのかの計算をしつつ週末の天気を気にする、といったところだろうか。
いずれにしても、ぼちぼち道具なんかを引っ張り出して具合を見ておかないと、いざ釣りに行こうという段であれがないこれがおかしいってことになりかねない。
と、まああれこれ考えながら半年間ほったらかしのトートバッグの中の道具を整理したりしています。毎回重たいトートを持って駐車場まで往復するのも大変だからって底の方を掘って(?)みるとリールが3つくらい出てきた。予備と言うよりも入れっぱなしで忘れてたふし。
でも考えてみればこの釣りを始めた頃は禁漁になるとリールからラインを外して径の大きい丸い筒などに巻き替えたりしていた。そうそう、今なんてラインをリールから引き出したらぐりんぐりんだもんね。
Abel TR 1はその重厚さと質感が魅力。
そういえば有名どころの各フライリールメーカーはラージアーバータイプのリールを出している。結構何年も経っているはずだが、果たして巷の釣り師達の間にどれだけ浸透しているんだろう? 巻き癖がつかず、巻き取り速度も早くといいとこどりのリールだけれど、径の大きさが・・っていうところで、本流や海なら十分取り入れられそうだが、渓流で使うとなるとクラシカルな小型リールが揺るぎない。それでも各メーカーもライトライン対応のラージアーバーリールの浸透にあれこれ工夫をこらしてくるはず(なにしろ日本のライトラインの釣りは外国メーカーにしてもかなりの市場のはずだし)。
3月解禁直後は場所によってはかなり雪が残っていそうで、苦戦も強いられるだろうけど春先から4月にかけての釣りは逆に期待が持てる。釣行当日や何日かまえの天候や気温(水温)で状況はかなり変わるだろうけど、まず解禁前の今出来る事と言えばはやはりタイイングと道具の準備って言う事になる。
ここ何年かはラインも新調していないし、ここいらでちょっとおニューのラインで気分一新っていうのも悪くないかな。トートバックにしまいっぱなしのリールに部屋の戸だなの中のリールにと、結構傷だらけになったものからろくに使ってないものまで、傍ら(かたわら)に並べてみたりする。
いっこ、にこ、・・・4つ、5つ・・・8、9・・をいをい、何個あるんじゃ!?
ORVIS CFO2 幅のある小径リールは雰囲気は確かによい。
しかしこの時期、部屋で道具をあれこれ段取りしてて、特にリールにラインを巻き替えたりしてたらなんかいかにもって感じの、どう言うンだろう? 解禁前の儀式みたいな感じってぇの? なんかそういう雰囲気がして、いよいよだなぁ〜って思っちゃいますねぇ。
盛り上がり度はシーズンに入ってからよりも入る直前の方が断然高い。前述したように解禁になったら逆に落ち着いたりするもので、解禁前のなんかしらハラハラするような落ち着かなさが実はこういう趣味を持ってる人の楽しみの中の結構な割合を占めているっていうのは言い過ぎだろうか?