その27  雨の週末と孔雀の羽根と
午後の天気予報だと日曜日の降水確率は低いものになっていた。これはチャンス、とばかりにそそくさと釣り支度を整え明日の釣りに期待を高めつつ夜にもう一度天気予報を見てみると、降水確率がグンと上がっているではないか!?
翌朝、雨の音で目がさめた。うむむ、ちょっとこれではさすがに出掛ける気にはならんなぁ、ということでまた布団に潜り込む。
それならじっくり本でも読みますか。
以前に少し書いたけど、梅雨前後はシーズン残り一ヶ月半の戦力としてテレストリアル登場の時期でもある。
テレストリアルといえば思い浮かぶマテリアルはやっぱりピーコックだろう。あの青とも緑とも紫ともとれる、光の加減で様々な色に変化するフシギな鳥の羽はしかし、夏の陸生昆虫を表現するのにはもってこいの材料で、私も今時分の季節にはこいつを使ったパターンばかりを巻き足す事になる。
ピーコックハールの虹色の誘惑。
ピーコックハールは主にそのままボディに巻いて使うのだが、私は好んでピーコックソードもよく使う。
数年前釣り仲間が使っていたのを見て、「いい」と思ったからで、こちらはもっぱらウィング材だ。ハールと違ってこのソードはウィングに使うため水面との干渉具合では水面の反射を絡めた妖しいヒカリが期待できそうで、魚へのアピールはかなりのものではないか?と思っている。
ソードは玉虫系のグリーンが印象深い。
左のフライはボディにピーコックハール、ウィングにソードを使ったパターン。よく使うのはウィングのないシンプルなハールボディのパラシュートなのだが、ソードのウィングを付けただけで食わない魚が食うかも知れない、などと考えたら「これはつけとこ」って思ってちょこっと付けてみたりするのだが、果たしてどこまで魚を誘う力に差がでるものなのか?
これからの季節、釣りにはキビシイ。大物を期待出来る季節でもあるのだが、外すと魚の反応が全くないなんてこともあり得ない事ではない。
夏に渓に何を期待して出掛けるかというと、釣果以外には避暑とかだろうか。しかし、山も街ほどではないにしろ暑くないはずはなく、一瞬の木陰の涼風は別天地を思わせるが日なたに出ると暑い暑い。

玉虫色の翼をたずさえた毛ばりを巻きつつ、窓の外の止まない雨を恨めしげに見ていると追い討ちをかけるように雨足が強まる。タイイングも少し休んで本でも読みますか。ああでも、読み出したらきっと眠くなっちゃうなぁ。