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2025 釣乃記
第拾漆話 ゴギの朱色、ラッキョウの歯応え
ピックアップすると引っかかった。外れないかとロッドをゆするとググッと動いた。えっと思った瞬間外れてしまったが、逃げる魚影はそこそこいいサイズ。
入渓して早々、やらかしてしまった。僕は振り返りTさんを見て、今しがたの失態を伝えた。 しかしあたりが薄暗い。このゴギ渓は五月に来た時よりも枝葉が伸び光を遮っている。おまけに曇っているので余計に暗く、フライが見えづらい。 深い谷は湿度が高く期待していた涼しさも感じられなかった。 週の途中でいい雨が降った。渓流はここ二回は雨の増水で良くなるポイントでヤマメを釣っているが、今回はどうしようかと思いを巡らせた。今年はミズを採りに行った時にゴギもというパターンが続いたこともあり、ゴギ釣りはまあまあ行っている。
でもそれも五月末が最後だったので、そろそろゴギを釣りたいと思った。連日の猛暑日、源流を目指すゴギ釣り、渓流の涼しい風、これは週末のプランは決まりだ。僕はGWにTさんと行った谷が頭に浮かび、すぐにTさんに連絡をした。 会社の知り合いからラッキョウを漬けている話を聞き、やってみたくなった。春に川沿いで収穫したノビルの球根の醤油漬けがおいしく、それをラッキョウでやってみたいし普通の甘酢漬けもいいなと思ったのだ。 ところが漬けるのは大体1kg単位で、それでしか売っていない。Tさんとポルチーニを採りに行った帰りの道の駅で地元産のラッキョウが1kg600円というのがあったが買いそびれ、その後同様のものが近所のスーパーにあったので決心した。 それからが大変で、1kgは結構な量でその皮を剥くのが相当な手間だった。でも僕は漬け込んだラッキョウをつまみにお気に入りの日本酒を冷酒で頂くことで頭の中がいっぱいになっていた。
腹の朱色が腹びれと尻びれにも浸透して(^^;)。
いつか、全身が朱色に染まったゴギが出現するのでは(^^;)
かなり上流まで遡ってきた。Tさんが「空が近い」と言った。
源流に近づき、険しかった流れが逆に平坦になっている。水量はまだそこまで細くない。 Tさんが釣ったゴギがカエルを吐き出した。なんと! 餌の少ない源流のゴギの生き延びるための執念だな。 帰ることを少しづつ考え出した僕は、帰ってからのビールとラッキョウの醤油漬けの歯応えを想像した。行程がきついほど楽しみだ。 それにしてもゴギはこの先どこまで棲み続けているんだろう。 Tさんが釣って声を上げた。ゴギの腹の朱色が見事なやつだ。
この川は過去の釣りではここまでゴギの腹の色が鮮やかな朱色だった記憶があまりない。 時期やその年の条件の具合でこうなるのか、思わず見入ってしまう。 僕は先ほどのやらかしを引きずらないように切り替えてキャストした。 いいポイントの手前のチャラ瀬に先に落とすとそこで出た。合わすが外れた。いかんいかん、もっと丁寧にやらないと。
水量は平水だがしっかりした流れ。
手のひらちょいの平均サイズが続く。そして朱色の腹のやつ。
反応が途切れないのがいい。しかしいかにもなポイントでは出ず、見過ごしそうな場所にゴギは潜んでいるようだ。 それに僕はバラしが多い。Tさんも見切られたりじっくり見せないと食わない、と言っている。 素直にフライに食いつくゴギ釣りという甘い考えは捨てなければ。途中で僕たちは昼飯休憩にした。この谷の流程はまだまだ長いはず。過去のここの釣行は、もう少し先までしかやったことがない。
醤油漬けはすぐ食べれるが、甘酢漬けは二週間は漬けないとな〜。
僕のヒットシーン。ロッドの曲がりがいい(^^;) (撮影 Tさん)
ラッキョウの醤油漬け、うま〜(*^^*)
時折日が差して薄暗い谷が明るくなる。そしてこれまた時折風が吹くとその涼しさが天国のような気持ち良さで、僕もTさんも思わず涼しい!っと声を出すほどだ。
これを感じたくてこの谷にやってきたんだった。 ただその快適な時間はわずかで、また高湿度の中の釣りが続く。 この谷の過去一番上までやった地点にきた。僕たちは躊躇わずその先へ進んだ。 ゴギはまだいて、僕たちのフライを追ってきた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |