F.F.雑感
其ノ六百九十五  その小さな一匹へ
なんと、タナゴが釣れた。正直僕に釣れるかどうかは半々だと思っていた。それがあっさりと。初めて見るタナゴは、当然だが小さかった。
写真や動画で見ていたタナゴ。自分の住む近隣のエリアでは釣ることは叶わないだろうと思い込んでいた、その実物が目の前にある。噂に違わぬ小ささ、なのに存在感は大きい。無論生息域の開拓という時間のかかる工程を僕は経ていないから、釣ったという限られた結果だけだがそれでも感動はある。釣りキチ三平で読んでからいつか釣ってみたいと思いながら過ぎていった十数年、ああ、本当に釣れたんだ。
件の三平とジャックのタナゴ釣りは冬なのでアタリの取り方などかなりシビアで高難易度の釣りのはずだが、今はタナゴの活性が高い時期だから、ミャク釣りのようなやり方でもコツコツっとアタリがくる。それに一匹釣って群れが散っても少し経つとまた戻ってくる。
今年の渓流解禁前に釣友のTさんとメバルを釣りに行った時、車の中で「タナゴを釣りたいんだよね〜」と話をした。その時はTさんはそれほど興味を示さなかったが、少しして俄然火がついたようで、なんと自力でポイントを見つけ出しタナゴを釣っていた。Tさんは前の年にオイカワ釣りにハマったので、小物釣りの土壌はすでにあるにはあったが、それにしてもタナゴを釣るところまで辿り着いたことに驚いた。
タナゴが居ないからやる人も居なく情報もない、ではなくて、タナゴを探す情熱を持った人が居なかったのでタナゴが見つからず情報がない、という事だったのだ。
そしてGWにTさんに連れて行ってもらう事になったのだが、ポイントを探し出すまでの苦労は計り知れず、それが情報のないこの辺りのエリアでのタナゴ釣りの九割以上を占めると思うので、なんだか申し訳ない。もちろん僕もポイントの新規開拓をしてお返しをせねばならない。
久しぶりにまた読み返しました(^^;)
細い用水路に息づく逞しさ。すごいです。
Tさんは快調に釣り上げていた。僕は最初釣れたがあとが続かず、場所を少し変えて椅子に座ってじっくり攻めてみた。
浮きの動きよりも手応えや水中の練り餌に食いつくタナゴを見て合わすことが多かった。こりゃサイトフィッシングだ。
それにしてもタナゴのなんとアグレッシブなことか。見ていると食いつく時は突進してくる。そして食って反転。
こんなに小さいのになんとも激しい。僕は自分がこの小さな魚の釣りにハマり込むなと確信した。
タナゴを知ったのは釣り人の御多分に洩れず釣りキチ三平でだった。五十年近く前のことだ。
アメリカからビッグゲームを求めてやってきた釣りキチのジャックに三平がちいさなビッグゲームと称してタナゴ釣りを教え、タナゴ釣り大会に参加するというもの。ちなみにこの後、三平はジャックにフライフィッシングを教わる。

インターネットが普及しSNSが広まってタナゴ釣りの投稿を目にするようになり、忘れていたタナゴをまた意識するようになった。
良いサイズのヤリタナゴ。癒されます。
初のタナゴ釣りはのどかな田園地帯の一角、Tさんの見つけたポイント。本当に小さな水路だが、そっと覗くと魚影が見える。
Tさんに練り餌まで用意してもらい、ネットで買った出来合いのタナゴ仕掛けを6'3"のバンブーロッドに結び、準備OK。
ロッドティップを水路の真上まで差し出し仕掛けを真下に落とす。するとすぐにククッとアタリ。あげると餌がない。
餌を付けてもう一度。今度はグーっと仕掛けが持っていかれた。上げると小さい魚が付いてきた。
小さくても活発なやつです。
極小の仕掛け。ロッドはたちまちバンブーロッドで。 
タナゴ釣りを始めようと思っても、なんと言っても問題はタナゴの生息がどうかだった。
僕の住む近隣ではタナゴ釣りの情報はなかった。それはタナゴが居ないのか、やる人が居ないのか。きっとタナゴが居ないからやる人も居ない、情報もない、という事だろうと思っていた。
何年も前にタナゴを探してウロウロしたことはあるが、探し方もわからず動き回るだけで終わった。
タナゴについては休みの日にタナゴ釣りの動画を見るだけで、そこから進展はないままだった。
人生初タナゴ。アブラボテ?かな。