2015 釣乃記
第拾七話  よたついて、アマゴ釣り
今年は沈はしているけれど、体をぶつけるようなコケ方は今のところしていない。
その代わり去年より明らかにバランス感覚が鈍っている。我ながらやたらよたよたしながら歩くのが目立つ。
春先のそれは半年間の禁漁明けだから慣れの問題かもしれないと思っていたが、解禁からそろそろ四ヶ月が経とうとしている。
もういくらなんでも慣れていないなんてことはないだろう。
つまり今のよたよたは、バランスを取る能力が衰えたと思った方がいい。
カエル先生! 今年も僕に教えをっ!!\(;゚∇゚)/
出る出る、と思いながら見ていると出ないので、無心を装い見るともなしに見るようにしたが、出ないものは出ない。
このポイントで出ない? ありえないな〜? と首をかしげながら上流へ向かう。
程よい川幅と水深、変化に富んだ流れにポイント。川底の沈み石の具合もいいし砂の流入も少ない。
なんだか出来過ぎの条件だがただひとつ、魚がいない。
一番肝心なものが抜けている。最初の一匹以降、一度の反応もないまま二時間が過ぎていた。
リバーサイドランチは木陰、涼風で快適。
結局僕が入渓した所はかなりの釣り人が入る区間で、魚はかなり釣られているということとしか考えようがなかった。
ようやく道路に上がれる地点に辿り着き、よたよたと斜面を上がった。
釣れないのと川歩きでよろけるので、いつもの倍疲れた。こうなるととにかく食べるのが先決だ。
例によって食べたあと昼寝。朝が早いので昼頃には眠くてしようがなくなる。
これでまたリセット効果があればいいのだが。
あなたはロッド二刀流ですか?
少し足を伸ばして、いつも行かない川まで出掛けてみた。
様子がわからないので、直感で入渓してみる。こういう時の勘はわりと当たったりするものだ。
入ってすぐの小プール、S字にうねる流れの筋でアマゴが出た。
やっぱりな、ここは良さそうだ。
六月下旬ともなると、川によってはクモの巣だらけで渇水で、という悪条件になるが、この川はそのどちらもない。
件のバランスのことも頭から消えて、僕は次の好ポイントに浮き足立っていた。
水はしっかりあるのだけれど・・・。
ランドスケープにCX-3も馴染める?
お、キミは白米が好きなんだね?
昼食と昼寝の効果は釣り人側の話だ。気分を変えて集中力も回復し雑になっていた攻め方も丁寧に。
午後の区間は川へ降りるところが薮薮で、釣り人が敬遠しそうなところを敢えて選んだ。
しかし川筋は葦で覆われポイントがない。こりゃあ確かに釣り人は入らんわ。竿が振れないもの。
ようやく葦の密集地帯を抜け、開けた流れの第一投、ここは出る、と不用意に投げてから思った。
フライは流れの筋から大きく外れた。ダメかと思った時、フライをくわえた奇特なヤツがいた。
辛うじて、午後の一匹。
バランス感覚を戻すトレーニング、しますか(^_^;