2015 釣乃記
第六話  増水とライズと猪肉
釣り上がるにはちょっときつい水位。
間近で見るとやっぱり増水している。もう一週間以上水位の多い状態が続いていた。
僕とTさんはまずは川原を歩いてライズの期待出来るポイントへ向かった。ここは去年の春にライズに遭遇した場所だ。
Tさんは下流側、僕は上流側に別れて様子を探った。
僕の立つ対岸でライズを発見! やや上流側へ回り込みフライを流し込むと一発で掛かった。
しかしヤマメを寄せると足元の葦の中に突っ込みスッとバレてしまった。

第二ライズポイントへ移動。
最初の場所もそうだったが特に虫は飛んでいない。薄曇りでやや風がある。静まり返った水面にTさんがフライを投じた。
「あっ!」Tさんがロッドをあおった。出たのか!? Tさんはこちらを振り向いて苦笑い。ライズ狙いのこの日の釣り、なかなかに苦戦しそうだ。
川へ向かう途中、道の駅の寄り道も楽しい。枝垂れ桜も。
前回Tさんと釣りに行った時、これからしばらくはTさんは本流釣行行脚のはずだった。
しかし最初の目的の川はまだ増水がひどく本流の釣りは断念することになった。
それならと、僕はTさんに渓流釣行を誘い、今週も釣行を一緒にする事になった。
シーズン当初はどんな釣りになるか状況がわからない。そんなだと釣り友達と一緒に行くのはなかなか難しいところがある。
こういう時は気心の知れた仲間と行くのが一番だ。

う〜ん、小さい! でもまあ、とにかく。
第三ライズポイントへ。第二もそうだったがやはり水が多い。第三は立ち込んで釣るので分厚い水流をもろに受けることになる。
カワムツのオンパレードのあと、明らかにヤマメの反応があったが僕も空振りしてしまった。

昼食を食べ損なってしまった。でも良い時間帯になってきたので、ここは我慢。
第四ポイントは少し川通しに歩かなければ辿り着けない。
増水の流れを避けて葦の茂る土手を行く事にした。
「来た時よりも水がぬるくなっとるね」とTさんが言った。
確かに。実感できるほどに水温が上がってきている。
気が付くとマエグロヒメフタオカゲロウがわらわらと飛び交い始めていた。
マエグロは水面羽化ではないけれど、風で落ちたりなんらかの接触はあるだろう。マエグロが飛ぶ時は当然ほかの水生昆虫だって活動を開始しているはずだし。

第四メインプールが見えてきた。
すでにライズは始まっていた。
なんとか獲れたライズ。よくお太りになられてました。
ナガレトビケラ、出没開始。
ダメージを負ったエルモンヒラタカゲロウ。
第四のメインプールに行く前の、流れが直角に曲がるポイント。
遠くからでもライズが確認出来た。しかも何ヶ所も。
まず僕がキャスト。出ない。フライ交換、着水場所をあれこれ変えても出ない。
奥まったポイントへ投げると出たが空振り。もうダメだ。Tさんと変わってもらった。
Tさんが数投キャストしてこのライズの主がかなりのちびヤマメだと見極めるのにそう時間はかからなかった。
ランガンでライズポイントを巡る。ハッチと合致した時なにかが起こる?
食べ損なったお昼をTさんと道の駅で食べた。五時を過ぎていた。
以前ここで猪汁セットを食べたので今回は猪肉の鉄板焼きを。
ようやくひとごこち着いた感じだ。やっぱり腹が減っては・・の言葉通りだ。

第四ポイントのライズは苦戦した。なかなかフライに出ないが次々とライズする。落ち着かない状況でなんとか僕に一匹。
Tさん、次こそ本流ですね。釣果を期待しています。
僕も新緑の季節に備えて次のフライを巻かなければ。
地元産イノシシ肉の鉄板焼き。帰る間際の燃料補給(^O^;)
好きな流れで一枚パチリ(-_^;) (Photo by Tさん)