其ノ三百四十五  春の島の週末
市内よりも遅い? 散り始めの桜と遭遇。
目の前を花びらが舞っていった。道路の脇には桜の木が。そういえば市内では桜吹雪は見ていなかったなあ。
僕の住む町よりも南に位置する島なのだが、どういう加減なのだろう? まだ見れてツイている。
桜の丘を離れこの島の東側へ回り込んだ。隣の島へ渡る橋が見える港までやってきた。
防波堤には数名の釣り人が見えていた。でも僕が入るスペースはなんとかありそうだった。
今度こそソルトの決着を着けなければ。
風がやや強い。桜を散らす風は港まで吹いてきていた。
四月にソルトフライをするのは初めてだった。四月だと夜ならまだしも日中で、果たしてどうか?
何投かしてリトリーブしていると、ククンとアタリらしき感触があった。うむ、可能性はありそうだ。
防波堤の釣り人は入れ替わり立ち替わり。それは良く釣れることを証明しているようなものだ。
またククン。続いてググン。軽く合わせる、掛かった!
急に晴れてきた。天気の急変が海中に影響を!?
「最近の仕掛けは変わっちょるんじゃのう?」
帰り支度をしていた年配のおじさんが声をかけてきた。
「はあ、糸は先端の方は細いんです。先っぽに毛鉤が付いています」
「そういうのでやまめとか釣るのをテレビで見たで」
「僕、それやってます。今、川は増水してるんで、海に来たんです」
「両方できるんならええやないか」
おじさんは高らかに笑いながら帰って行った。
フライの雑誌103号の「すぐそこの島へ」という特集に寄稿した時、記事の中にこの日の釣り場の島にあるまりちゃんという店に登場してもらった。
その掲載号とその時の写真を届けるのもこの日の目的だった。
店のある漁村のいつもの島ニャンコ先生にあいさつをし、まりちゃんのある路地へ入った。
店主のまりちゃんに雑誌と写真を渡した。まりちゃんは喜んでくれたが、店がかなり忙しそうだったので僕は挨拶だけして店を出た。
この日、僕は新しい車で初めて遠出をしていた。でもリヤシートには釣り道具とカメラ、そこのところは今までとあまり変わり映えはしない。
まりちゃんにはまたそのうちお昼ご飯を食べに行こう。ニャンコ先生にはなにかお土産でも。
新しい車とゆっくり過ごす島の週末。少し風も止んですっきりと晴れてきた。
そろそろ下げ潮の潮流が始まる頃だ。僕は近くの港に向けて車を発進させた。
いろいろ考えていたけどやっぱり釣りメインになったな〜(^O^;)
さてと もうひと釣り、やってみますか〜。
小さいけれど日中のフライに出てくれました(-_^;)