其ノ二百六十七 山里にて
小さな神社の祭り。それがすむと山は色づき、そして雪が降る。
少し前にサツキマスを見に行ったので、今回はヤマメを見たかった。
雨で川がちょっとでも増水していればチャンスはある。何度かペアリングを見れた川に向かった。
それにしても今年はちょっと紅葉が早いのか? 予想以上に色づきが早いように見える。道の落ち葉もあきらかに多い。
目的の川に着いた。期待していたほど水は増えていなかった。
スッとブルーが飛んだと思ったら流れの上空で止まった。
ホバリングというよりも完全に空中で停止している。そのブルーは次の瞬間水中へダイブし、数秒後水面から飛び立った。
カワセミの一連の動きをはっきり見たのは初めてだ。こんな時、望遠レンズがあればなあ。
今週もちょっと川の偵察に。山は徐々に色づき始め、標高を上げると気温もグッと下がり季節の深まりを感じた。
すでに紅葉を通り越してる場所も。
おお、まだこの季節でもがんばってますね。
ヤマメはすぐに見つけられた。なんとも小さいやつが数匹、流れのゆるい所をゆらゆらと泳いでいた。
デジカメで撮っても見えるくらいに写りそうもないので、双眼鏡でながめるだけにした。やはりヤマメ、当たり前だけど慣れ親しんだその姿になんだかホッとした。
それにしても寒い。日差しが出てくるという予報も外れ、どんよりしている。僕はチビヤマメの観察を切り上げて、近くにあるレストパークに入った。すぐそばにキャンプ場や食堂もあり、ここではお土産を売っていた。
見るとはなしに商品を見ていると、壁にかかるヤマメの写真に気が付いた。かなりの大物だ。店の人に聞いてみると、四年前のものらしい。いるところにはいるんだなあ。
レストパークも閑散としていた。
店の人にあれこれ話しを聞いていくうちにこのあたりの町の状況の話しになった。こういう山里だとどうしても過疎や高齢化のことが一番に来る。
子供の数が少し増加傾向にあるらしいが、やはり高齢者も多い。今はよその町との交流、いろんなイベントをもうけて活性化を促しているとのこと。
たまの週末に訪れてのどかな景色や季節を感じてほんわかしている僕にとって、そういう切実な話しは少しこたえた。
いつもの○○街道で買うフキのおにぎり。美味なり。
僕もいずれ歳をとる(もうだいぶとったが)。人が老い町が老いていくことは、今の季節のように寒々とした気持ちになる。
しかし避けては通れず現実と向き合わなければならない日がいずれやってくる。
その時までに備えておく事は今のうちにできる。あんなに小さいヤマメだってそのためにああやって流れに逆らって泳いでいる。
少し陽が射してきた。ヤマメが小さくライズした。
極小ヤマメ(^O^;) でもパーマークはしっかりと。